国内男子ツアー

尾崎直道、大会2勝目!ギャラリーと一体化した勝利!/つるやオープンゴルフトーナメント

2005/04/25 12:00
尾崎直道

試合を戦う上で尾崎直道が、いつも大切にしているのはギャラリーとの一体感だ。波に乗ってくると、がぜんお喋りになる。ロープの外のギャラリーにも、積極的に話しかける。

2番パー3で、6メートルのバーディパットを決めた。このホール2日連続のバーディで、勢いづいた。前日まで、アイアンで刻んでいた次の3番パー4。ティショットで今週、初めてドライバーを握って、残り80ヤードのフェアウェイ。会心のショットに、力のこもった声援がかかる。笑顔で答える。「ナイスショット!」「ありがとうっ!」

続くサンドウェッジでの第2打は、ピンに当ててOK距離につけるスーパーアプローチ。再びかかるギャラリーの声援。「ナイスアプローチッ!」ちょっぴり、自嘲的な笑みを浮かべながら答える。「ありがとうっ! ・・・でも当たってなかったら、5メートルは行ってたね」

おどけたしぐさに、当たりはたちまち笑いに包まれた。ギャラリーと一緒になって笑ったり、怒ったり。そのうちにみな、知らず知らず直道のペースに巻き込まれていくのだ。序盤に連続バーディを奪ったあとは、とにかく我慢のプレーだった。再三のピンチを、好調のアプローチとパターでしのいだ。

特に、バンカーショットが素晴らしかった。それまでの8年間、参戦していた米ツアーから復帰したのは2002年。そのとき、コースの変化に合わせてロフト60度のサンドウェッジから58度のものに変えて戦っていた。それを今週、再び60度に戻して戦ったのが「昔に返った感じで、すごく良かった」という。

上:ギャラリーの声援に反応し、観客にその都度話し掛け自分のペースを作っていった尾崎直道。2位のポール・シーハンを寄せ付けない完勝だった。 下:「今年、相当体を鍛えてきた」と言う野本キャディ。48歳の挑戦はまだまだ続く。

48歳なりの渋みあふれるゴルフで、大観衆を魅了した。17番は、第2打で左のフェアウェイバンカーから、また、グリーン左のガードバンカーに打ち込んだ。そこから、絶妙のバンカーショットで3メートルにつけてバーディを奪った。たちまち沸き起こった大歓声。「ナイスバーディ!」の声に、「・・・う~ん、まあまあですな。あれくらいで、勘弁してください!」おどけたしぐさと裏腹に、2位のシーハンを容赦なく突き放した。

最終18番のセカンドショットも、またバンカーだった。グリーン手前まで運び、ここでもパーで切り抜けた。危なげなく逃げ切った。20歳年下の好敵手を1度ならず2度も退けたパワーは、たゆまぬ努力とトレーニングの成果だった。

口では「いつもと、トレーニングの量も内容も同じ。オフもたいして、やってるわけじゃないよ」と言うが昨年、シーズン序盤で腰を痛めた失敗が、再び直道の心に火をつけたのは間違いない。

1年のうち、約半数のトーナメントでバッグを担ぐ野本美代子さんは、開幕から気がついていた。「今年、直道さんは相当、体を鍛えてきた」と感じていた。

「まずいちばんに歩き方が全然、違っていたんです。下半身がどっしりとして、力強くて。本人もそんな自分に気がついていて、ラウンド中に私に何度も、『どう、歩き方?かなり、さまになっていると思わない?』って。この4日間、充実感にあふれていましたね」と、野本キャディ。

これからがシーズン本番。日本ツアーで6人しか持たない永久シード選手のジョー尾崎が力強い足取りで、2005年に確かな足跡をつけていく。