ツアープレーヤーたちのチームワーク<第2回VISAダイナスティカップ>
賞金王・片山晋呉が、あとで「出場してほんとうに良かった」と言った第2回VISAダイナスティカップ。前週には、2年ぶりのマスターズトーナメントがあった。強行スケジュールに迷いもあったが、戦い終えた今はしみじみと、「これまでにない、良い経験をした」と、感じている。
開幕前からチーム全員が、今度こそキャプテン・青木功に優勝を贈りたい、という気持ちで高まっていた。さらにメンバーの平塚哲二が開催直前に父を亡くしながら会場入りしたことで、一層固いチームワークで結ばれた。「青木さんと平塚を、ミッションヒルズの18番グリーンで胴上げする」。心に決めて決戦の舞台に立った。「そんな気合が、今回は悪いほうにいったかな」と、振り返るのはチーム最年長の加瀬秀樹だ。対するアジアチームは、みな驚くほどリラックスしていた。「あのお気楽な感じが、日本チームにはなかった。それと、いろんな国の選手が集まったチーム構成のアジアに対して、日本はみな『日の丸』を背負いすぎてしまったのもあるかもしれない」と、加瀬は言う。
コースコンディションの違いにも戸惑った。「単純にラフの長さとか、グリーンの速さとかそういうレベルの話ではなくて、芝質の違い。いろんな人種があるように、芝にもいろんな種類があって。それに慣れていない差が出てしまったのだと思う」と、話すのは前回大会と合わせて6マッチとも全敗を喫している鈴木亨。
「1回も貢献できていない歯がゆさを、噛み締めながら」の戦いの中で、「この差を埋めるためにも、若い子たちがもっともっと世界に挑戦していく意識を持つべきだ」と、痛感したという。「とにかく、経験してみないと分からない部分があって。たとえば全英の厳しさを、口で言われたって、わからないじゃないですか。それと同じで今回のことも、『慣れること』で解決できる部分があるんじゃないか、って思ったんですよ」と、鈴木は言う。
連敗を喫した悔しさは残ったが、それを上回る収穫もあった。最終日の夜に行われた選手ミーティングでは、「日の丸を背負う意義」や「代表になった誇り」などといった言葉が、選手たちの口から次々とこぼれ出ていた。
「何より一番良かったことは、『僕たちは、日本がこんなに好きだったんだ』って、気が付けたこと」と、話すのは深堀圭一郎。「マル(丸山茂樹) もシンゴ(片山晋呉)も、『出て本当に良かった』って言ってくれたし、『こんなに悔しい思いは初めて』っていうほどの貴重な経験もできた。こういう経験があるからこそ、ますます強くなれそうな気がするし、この気持ちを、それぞれのツアーに戻った時に出していけたらいいよね、って話し合ったんですよ」と、深堀。
そして、最後も12人は、ある一つの思いでまとまった。「次こそ、深センで青木さんを胴上げする」。2007年の第3回大会こそこの願いを叶えなければ、本当に悔いが残るばかりだ。