2018年 全英オープン

「バリ硬」カーヌスティで松山英樹の奮起を待つ

2018/07/18 16:15
昨年3日目を終えて5位につけるも、上位争いには加われなかった…

カーヌスティゴルフリンクス(スコットランド)で行われる今年の「全英オープン」。

毎年、欧州ツアーのプロアマ形式の大会「アルフレッド・ダンヒル・リンクス選手権」が行われ、欧州勢には馴染みのあるコース(予選でカーヌスティかキングズバーンズ、決勝はセント・アンドリュース オールドコースで実施)ではありますが、米国勢や国内選手にとっては、それほど知られていないコースと言えるでしょう。

カーヌスティでの全英オープンはパドレイグ・ハリントンが優勝した2007年以来、11年ぶり8度目。まさにリンクスといった戦略性の高いコースで、風向きが毎ホール変化し、バリーバーンと呼ばれるクリークがからむことで「全英オープン」開催コースでも一番難しいと言われるほどです。

そこへもってきて、練習ラウンドを行った選手たちの反応を見ると、地面が異常なほど硬いという報告を受けています。その度合いは日本勢がリンクスで例年手こずる硬さというレベルではなく、この地に慣れた欧州勢も驚くほど。参加選手全員が手こずるであろう、例外的なレベルの硬さと言えそうです。

総距離は7402ydで、例年と比べてやや長め(昨年ロイヤルバークデールGCは7156yd)ではありますが、この硬さを考えると、パワーより正確性が問われる大会になることが予測できます。フェアウェイにさえ落とせばコロコロと転がってくれるわけで、それほど飛距離を要せず、確実性、安定感、ティショットの精度が問われることと思われます。

近年のメジャー大会で、最も地面が硬かったと言われているのが、2006年にロイヤルリバプールで開催された全英オープンです。この年に優勝したタイガー・ウッズが、大会中ドライバーを使ったのが1度だけ、という記録が残っています。今大会も同じように、ティショットでドライバーを使わない選択肢が増えることは予想できます。

そのように考えると、エースドライバーを破損してから模索の続く松山英樹選手ですが、ドライバーをあまり必要としない硬い地では逆に勝機があるようにも感じます。今季年間を通して波に乗れていない現実はありますが、マスターズ19位、全米オープン16位と、メジャーでの戦い方はしっかり押さえている印象。また、昨年の全英オープンでは14位と、メジャーだけの流れで考えれば、次こそはやってくれると期待して良いように思うのです。

正直な話をすれば、松山選手ほどの実力を持った選手が、一年を通して一度もトップ争いに顔を出さないことが信じられないというのが正直なところです。残りのメジャー2試合か、プレーオフシリーズのどこかで、彼の爆発した姿を期待してしまうのは、私だけではないはずです。特に今回の状況では、ショットの精度自体は悪くない松山選手にとって、好都合と言えそうです。あとは強風や難しいピン位置、思いがけないアクシデントへの持ち前の対応力の強さに期待したいと思います。(解説・佐藤信人

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