PGAツアーを背負って立つ! 「スピース世代」の躍動
◇米国男子◇トラベラーズ選手権◇TPCリバーハイランズ (コネチカット州)◇6841yd(パー70)
ジョーダン・スピースが節目のツアー通算10勝目を挙げた先週のトラベラーズ選手権。スピースの劇的チップインで幕を閉じた部分がクローズアップされていますが、ここではプレーオフで敗れたダニエル・バーガー、彼の活躍に注目したいと思います。
ダニエル・バーガーは、スピースと同じ1993年生まれの24歳。今年の「フェデックス セントジュードクラシック」で大会連覇を果たした若手のホープです。彼が今回スピースと一騎打ちを繰り広げたことで、PGAツアーでの世代交代の波を感じました。
優勝したスピースは、言うまでもなくすでにPGAツアーの顔。今回のダニエル・バーガー、さらには現在賞金ランキング3位のジャスティン・トーマスらは、“2011年高校卒業組”と呼ばれる、新黄金世代の象徴的な学年になります。
よく同期の活躍で刺激を受けると言いますが、「アイツができるなら俺も…」「アイツには負けたくない」と、確かにモチベーションは上がるものです。しかし、飛び抜けた才能を持つ人間が1人だけだと、あきらめの感情が生まれやすいのも事実です。「アイツならしょうがない」「アイツは天才だから…」。そうなると向上心は生まれず、1人のヒーローとその他大勢の傍観者状態となるわけです。
この世代では、まずスピースが才能を開花させ、頭一つ抜け出しました。そして、1人ではなく2人、3人と、彼に続く者が出始めました。そうなると状況は一変します。「アイツ“ら”ができるなら俺も…」「アイツ“ら”には負けたくない」という気持ちが生まれ、世代全体に相乗効果が加速度的なスピードで波及し始めるわけです。
“2011年高校卒業組”は松山英樹選手のひとつ下の学年になりますが、松山選手も含め、いまやPGAツアーを背負って立つ世代になりつつあります。今後も同世代の選手が張り合うことで、新たなヒーローが生まれる予感がしています。(解説・佐藤信人)