2019年 ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ

渋野日向子の“いま”を作り上げたソフトボール「ゴルフよりも好き」

2019/05/10 18:23
終始笑顔でプレーした渋野日向子

◇国内女子メジャー◇ワールドレディスサロンパスカップ 2日目(10日)◇茨城GC東コース◇6560yd(パー72)

“黄金世代”からまたも新星が現れた。20歳の渋野日向子が1イーグル2バーディ、ノーボギーの「68」をマーク。通算5アンダー2位で決勝ラウンドに駒を進めた。「この難しいコースで、このスコアが出るとは思っていなかった。予選通過するかしないかのレベルかなと思っていたけど、びっくりです」と満面の笑顔を見せた。

5番で残り124ydの2打目を9Iで1.5mにつけバーディを先行。続く6番(パー3)では「ホールインワンすればよかったのに」というピンに当たるスーパーショットで連続バーディとした。最終18番(パー5)は残り228ydを3Wで2オンに成功させた。4mのスライスラインを流し込みイーグルで締め、ギャラリーを湧かせた。

4月の「KKT杯バンテリンレディス」初日に「81」をたたき、「予選落ちすると思って開き直ってピンばっかり狙っていった」という2日目に「66」をマークした。以降、きょうまで10ラウンドの平均スコアは「68.9」と驚異的で、2週前の「フジサンケイレディス」は2位で終えたが、「自分が思っているよりも成長しているのかな」と人ごとのように笑う。

渋野の出身は岡山県岡山市。砲丸投げと円盤投げの国体選手だった父の悟(さとる)さんと、やり投げの選手だった母の伸子(のぶこ)さんとの間に3人姉妹の次女として生まれた。「外でずっと遊んでいる子どもだった」という幼少期は仮面ライダー、もしくはディズニーアニメ「リトル・マーメイド」に登場するキャラクター「アリエル」になることが夢だったという。

小学2年の8月に、友達の父親がインストラクターをやっていたことがきっかけでゴルフに出会った。12月には岡山市東区の「平島スポーツ少年団」に所属してソフトボールも始め、投手として熱中した。打撃はゴルフスイングとバランスをとるために左打ちに変更した。投手経験は「アプローチに似ている」とゴルフにも活かされた。小学6年時にはソフトボール投げで58mを記録し県大会で2位にもなった。

中学に上がると唯一の女子選手として軟式野球部に入部したが、中学1年で「岡山県ジュニア」を制覇(以後3連覇)したことをきっかけに中学2年でゴルフ一本に絞った。2018年に2度目の挑戦でプロテストを突破したが、「いまでもゴルフよりもソフトの方が好き」という。「気分転換になる」とオフは毎週土日に少年団に参加してバッティングやピッチングの練習をする。「女子プロゴルフ界はなかなかタフなので、そこで子どもたちに癒されています」と自身にとっての安息材料だ。

今季すでに約1141万円を稼ぎ「リランキングのことは気にしなくてよくなった」と安堵(あんど)し、「今年のうちに優勝とは考えていない。目標はシード」としたが、その表情は週末に奇跡を起こしかねない勢いを感じさせる。(茨城県つくばみらい市/柴田雄平)

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