所属の縁はプロテスト 浅井咲希が“デコ・カート”に秘めた願い
◇国内女子メジャー第2戦◇日本女子プロ選手権大会コニカミノルタ杯 事前情報(5日)◇小杉CC(富山)◇6605yd(パー72)
日本女子プロゴルフ協会が主催する今季のメジャー第2戦には「開催コース所属プロ」という出場資格がある。その1枠で132人のフィールドに入った浅井咲希(あさい・さき)は兵庫在住ながら、ここ富山のパブリックコース・小杉CC所属の20歳だ。
縁が生まれたのは1年以上前のこと。当地では昨年7月に最終プロテストが開催され、トップ合格の松田鈴英を筆頭に勝みなみ、小祝さくらほか22人の女子プロが誕生した。浅井もそのひとり。当時、5月の第2次予選(プロテスト)を通過した直後、この最終テストを控え「このコースに誰よりも早く入って、誰よりも多く回ろうと思った」と、遠征を繰り返してチェックを重ねているうちに、コース幹部から声がかかり、のちの契約に至った。
所属プロという身分ながら、現在も拠点を家族のいる兵庫県尼崎市に置いている。「本来なら富山にいないといけないけれど、考えてくださっている」とコースの対応には感謝しきり。下部ステップアップツアー転戦の合間に北陸に足をのばす生活だ。
少しでも恩返しがしたい。その思いは行動に表れている。小杉CCでは近年、来場者のラウンド用の電動カートを約15台装飾し、カラーバリエーションを増やしてきた。ガラス張りになっているクラブハウスのレストランからコースを見下ろすと、デコレーションされた天井の柄もよく見えコースを彩る。浅井もこれに賛同し、最近ショッキングピンクに黄色い水玉の入ったデザインをリクエスト。ラインアップに加わった。
「ゴルフ人口も減ってきている。兵庫県はジュニア育成にも力を入れているんですけど、このへんはなかなか人が集まらないそうなんです。少しでも人が集まってくれるもの、ラウンドしながら楽しい気分で回れるものを何か作りたいと思った」というのが秘めた願い。「ゴルフは男の人がやっているスポーツというイメージも強い。女性のゴルファーを増やしたいので、明るめの、派手めなカートにしました」。
3週後の「日本女子オープン」の出場権も手にしているが、国内メジャーは今週が初挑戦。下部ステップアップツアーを主戦場としているだけに、「ついに(開幕)前日にまでなってしまった…」と、ナーバス全開で試合に臨む。「まさか出られると思っていなかった。小さい頃からテレビで観ていた試合。たくさんの人が応援して、期待してくれているので、ワクワクもするし、緊張もする」。誰よりも知り尽くしたコースで、自分らしさを発揮したい。(富山県射水市/桂川洋一)