バーディラッシュの“渡邉劇場” 2位惜敗も「絶対たくさん勝てるときが来る」
◇国内女子◇ヤマハレディースオープン葛城 最終日(2日)◇葛城ゴルフ倶楽部山名コース(静岡県)◇ 6568yd(パー72)
何度も優勝をつかむチャンスはあったが、終わってみれば1打差の2位。地元ギャラリーの大きな声援を一身に受けて逆転優勝を目指した渡邉彩香だったが、終盤16番のダブルボギーが響いて2年ぶりの優勝はならなかった。
イ・ミニョン(韓国)を2打差で追って迎えた最終18番(パー5)。1m弱のパーパットを残したイに対し、最後のプレッシャーを掛けるバーディパットを沈めた渡邉だったが、その表情には一瞬の憂いがよぎった。
「あれは相手がどうこうじゃなく、16番でダボを打ったまま終わりにはしたくない気持ちで打った。入ったけど、悔しい気持ちが湧いてきた」。
この日、最終組の3人が奪ったバーディは計14個。白熱したバーディ合戦による優勝争いとなったが、その半分の7個は渡邉のもの。1番で7mを強めにカップの真ん中から沈めると、4番(パー3)はティショットをピンの根元50cmにぴたりとつけ、8番では右ラフから前方の松の枝を避ける大きなフェードで3mにつけてバーディとした。
この日はティショットが荒れ気味で、フェアウェイキープは50%まで落ちたが、「この3日間が良すぎた。大きく曲がった9番は自分らしい」と意に介さない。9番、10番の連続ボギーも、11番、12番の連続バーディで取り返し、15番(パー5)はグリーン奧からの3打目のアプローチが、カップ左縁で止まるイーグル逃しのバーディとした。通算9アンダーでイと並び、勝負の上がり3ホールへ突入した。
この日の難易度1位となった16番で再びティショットを左に曲げたが、2打目でウェッジ圏内まで運んできた。ラフだったが、ライはいい。迷った末に手にしたのは58度。「スピンは効くだろうなと思っていたけど、奥まで打つなら1クラブ上げないといけない。そうすると、振り切れない分、戻り切るかなというのがあった。あの状況ではベストな選択をしたと思う」。その3打目はピンそば50cmにキャリーしたが、強烈なバックスピンでグリーン外へとこぼれ落ちた。「あそこまで戻るというのはちょっと・・・」。アプローチも寄せきれずにダボとした。
優勝には1打届かなかったが、地元・静岡で最終日に訪れた5555人のギャラリーを自身のプレーで熱狂させた。「なにより勝つことが一番だけど、成長した部分も感じた。最終日にこれだけバーディが獲れたのも今季初めて。こうやって1つずつ勉強していければ、絶対たくさん勝てるときが来ると思う。それを信じてやるだけです」。負けてなお、その表情はあすへの希望に満ちていた。(静岡県袋井市/今岡涼太)