イ・ボミの記録はどこまで伸びる?2週連続7勝目「プレゼントみたい」
2億円女王のイ・ボミ(韓国)が、今季7勝目を確信したのは開始早々の2番(パー5)だった。福島県の五浦庭園CCで行われた「大王製紙エリエールレディスオープン」最終日、3打差の単独首位から出たイは3バーディ、ノーボギーの「69」で回って通算16アンダーとし、2位に5打差をつけて悠々と逃げ切った。
「2番でバーディを獲った感じが、今日も良い感じだったから、そんなに心配しなくていいのかなって」。18ホールに4つあるパー5は4日間で計16回。今週のイは、パー5で1度も2オンを狙わなかった。最終日、最初のバーディは残り115ydに刻んだ3打目をPWで3mにつけた2番(パー5)。結局、パー5だけで8バーディ、ノーボギーとアンダーパーの半分を稼ぎ出した。
「普通のことを普通にできる」とキャディの清水重憲氏は言う。丹念にヤーデージブックにメモを書き込み、ラウンド毎にコースマネジメントの精度を高めていく。2日目の9番(パー5)で1Wのティショットを右にふかしてピンチとなると(パーセーブしたが)、翌日は5W、最終日は3Wと徹底してリスクを避けた。
この日、ダメ押しのチップインバーディを奪った17番は、ティショットを右ラフに入れた。イは「2打目はどこに打てばいいですか?」と清水氏に聞いた。ピンは左手前に切られており、グリーン左に外せばボギーもある。右手前がいいが、2打目地点からは大きく右に打ち出すことになる。それでも、イは清水氏の言葉通りグリーン右手前に打つと、残り20ydの3打目をSWでチップイン。「びっくりしました」と本人も目を丸くしたが、終始こんなペースでことは運んだ。
「私、本当に優勝ですか?」ウィニングパットを沈めた18番グリーンで、イは何度も清水氏に確認したという。「それくらい信じられない。プレゼントみたい」。今季7勝目を挙げて、獲得賞金を2億2581万円余とし、伊澤利光の約2億1793万円を抜いて、男女を通じ国内ツアーの年間獲得賞金の最高額を更新した。
大会2日目の夜、イは昨年他界した父親の夢を見たという。「先週も珍しくお父さんが出てきたんだけど、今週も出てきて“ボミの優勝が見たい”って言ったんです。去年、お父さんが亡くなってから成績が良くなかったから、それが気になったのかな。だから今年は、本当に信じられないくらい優勝できて良かったです」。
18番グリーンを取り囲んだファンに「感動しました。日本で一番応援が大きかったと思う」と感謝の言葉を伝えた。獲得賞金は、震災復興に取り組む福島に寄附することを考えている。「今週は副賞がすごく多かったから、それも全部」。強く、優しく、愛きょうもある。次週の最終戦も「メジャーだし、勝ちたい気持ちが強い」と意欲満々。イ・ボミ劇場、今年の最終回もお楽しみに。(福島県いわき市/今岡涼太)