“ラッキー”を味方に初勝利へ 菊地絵理香「今までで一番のチャンス」
残り30ydから放ったボールがグリーンの傾斜を伝いカップに消えると、両手を大きく上げて笑顔をはじけさせた。「KKT杯バンテリンレディスオープン」(熊本県・熊本空港CC)2日目、首位から出た菊地絵理香は一時順位を落としたが、最終18番(パー5)で値千金のイーグルを奪い、再びリーダーボードのトップに立った。通算6アンダー、後続に2打差をつけて悲願の初優勝へ最終日を迎える。
プロ8年目。これまで何度も優勝争いに顔を見せ、「いつ勝ってもおかしくない」と言われながら、いまだ勝利の女神がほほ笑んだことはない。だが、菊地は2日目を終え「今までで一番チャンスのような気がするので頑張りたい」と宣言してみせた。
これまでで最も優勝に近づいたと思ったのは、昨年10月の「富士通レディース」。最終日の後半12番から単独首位に立ったが、17番、18番で連続ボギー。アン・ソンジュ、横峯さくらに並ばれ、プレーオフ1ホール目でもパーセーブできず、アンに敗れた。
「完全に自滅だったのでもったいなかった」と今でも悔やむが、今季は前週までの6戦でトップ10が4度、平均パット数は1位(1.7598)と抜群の安定感を誇る。「今年はショットは良くないけれど、アプローチとバンカーとパットが良いし、気持ちの面で我慢できるようになったのが大きい」という。過去3度挑戦して、いずれも予選落ちした今週のコースでも、好調を維持している。
この日は2番で2打目をグリーン右手前に外しながら、12ydのアプローチが硬くなったグリーンで最後の一転がりを見せチップインバーディ。18番でも左に跳ねたら池という地点に落ちたセカンドショットのバウンドはまっすぐで、「ラッキーが多かった」とも振り返った。
「ハイスコアになる展開ではない。我慢してちょっと伸ばせれば、という方が自分に合っている気がする」というのが、勝利に近いと感じる理由。「このコースは2打差はないようなものだし、気を引き締めないといけない。でも、ないよりはいいし、並ばれたらまた頑張ればいい」。油断はせず、さりとて気負いもせず、初めての頂点を目指す。(熊本県菊陽町/片川望)