2014年 伊藤園レディス

苦労人・前田陽子が涙のツアー初勝利

2014/11/16 18:12
プレーオフ2ホール目、大城さつきがパットを外すのを見届けると、涙があふれた

千葉県で開催された「伊藤園レディス」最終日、前田が大城をプレーオフで下し、ツアー初優勝を飾った。「これまで支えてくれた母、妹には感謝している」。優勝スピーチではまず家族を想い、これまで言えなかった気持ちを言葉で紡いだ。

「スコアボードはちらりと見たけど、(単独首位に立っていることは)分からなかった。もし分かっていたら、手が震えて、もっと打てなかったと思う」。単独首位に抜けだし、最終18番を迎えた前田は約2.5m強のパーパットを外して大城さつきと並び、ツアー初優勝を懸けた争いはプレーオフへと持ち越された。

「“ここが勝負どころ”のパット(正規の18番)で決めきれなかった」ことを悔いたのは、昨年の年明けから、コーチとして師事する今堀リツの言葉が脳裏をよぎったからだ。常々、「勝負どころで決めてみなさい」という今堀からの挑発的な言葉に、前田は「ここだ」と認識したものの、外した瞬間、それに応えることができなかったという苦笑いを浮かべた。

池の絡む18番で行われたプレーオフ1ホール目は、ピンそば約3mにつけ再びバーディチャンス。しかしこのパットを外して2ホール目に突入。2ホール目はグリーン手前約20mから50cmに寄せ、「お先に」パーでプレッシャーをかけた。大城のパーパットがカップに蹴られ、優勝が決まった瞬間、前田は溢れ出る涙を押さえきれなかった。

優勝賞金1800万円を獲得し、賞金ランクは68位から34位に浮上。2週間後に行われる今季最終戦「LPGAツアー選手権リコーカップ」の出場権に加え、来季シード権もつかんだ。06年に非会員登録でツアーに参戦し、アルバイトしながらゴルフに勤しんだ8年間。「プロになったからには1年でもツアーに出たい」と語っていた夢は、“ツアー優勝”で実を結び、さらなる飛躍への第1歩とした。(千葉県長南町/糸井順子)

2014年 伊藤園レディス