劇的イーグルで賞金トップ奪還!森田理香子「来週も一番を目指す」
愛媛県のエリエールゴルフクラブ松山で開催された「大王製紙エリレールレディス」最終日。単独首位から「69」と伸ばした森田理香子が通算15アンダーで今季4勝目を飾った。優勝賞金1,800万円を獲得し、前週に賞金ランキングトップの座を譲った横峯さくらを再逆転。逆に約280万円のリードを奪い、賞金女王に最も近い位置で次週の最終戦「リコーカップ」を迎える。
前半は、重い空気が森田を包んだ。4番では2メートル弱のバーディチャンスから3パットボギー。6番でピン奥12メートルをねじ込んで1つ取り返したが、9番(パー5)ではショートゲームのミスが重なり、5オン2パットのダブルボギー。通算10アンダーで首位から陥落し、首位を2打差で追う立場に変わった。
しかし、気落ちはしなかったという。師事する岡本綾子の言葉が頭を巡っていた。「岡本さんから“勝負はバックナインから”と言われている。それだけを頭に入れて、あと9ホール良ければ勝てると思っていた」。そして、サンデーバックナインの逆襲が始まった。
16番までに3バーディを奪い、首位に1打差で臨んだチャンスホールの終盤17番(パー5)で最大のハイライトを迎える。グリーン左手前の池を避けてピン右側に2オンさせたが、カップまでは約15メートル。下りのフックラインで3パットも頭をよぎる場面だった。それでも、森田の目にははっきりと“ビクトリーライン”が見えていたという。
「ラインが見えていたんです。すごく良いイメージで打てたので、もしかしたら入るかもしれないと思った」。息を呑むギャラリーが見守る中で放たれたイーグルパットは大きなフックラインを描き、単独首位の座を奪い返すカップイン。「(体が)震えたし、嬉しかったのでちょっとウルウルしてしまった」と、今なお体に残る、勝利へと導いた劇的なイーグルの余韻に浸った。
女王争いの“喧騒”は当初、森田をナーバスにさせるものでしかなかった。ピークは、横峯さくらに約380万円差に肉薄された先月の「マスターズGCレディース」直後。「一番、気持ちがきつかった」と、なかなか成績につながらないゴルフの調子よりも、ただただ注目の集まる立場にいることで精神的に追い詰められていた当時を振り返った。
しかし、米女子ツアーとの共催大会「ミズノクラシック」あたりを境に、「自分が良い位置にいるから言われるわけだし、悪いことではないと切り替えられた」という。吹っ切れたような表情が増えるに従い、ゴルフの調子も上昇した。横峯に逆転されて迎えた今週の優勝も、気持ちの切り替えと無関係ではないだろう。
賞金ランキングトップの座を奪還し、いよいよ残すは次週の最終戦だけ。「勝負は来週。岡本さんからも“後悔しないように一生懸命がんばりなさい”と言われている。来週は、一番を目指して頑張りたいです」。敬愛する師匠の言葉を胸に、注目の最終決戦へ覚悟を固めた。(愛媛県松山市/塚田達也)