70歳の尾崎将司 上がり3ホールで2バーディの意地
◇国内男子◇ダンロップフェニックストーナメント 初日(16日)◇フェニックスカントリークラブ(宮崎) ◇7027yd(パー71)
スタート前の練習場では、松山英樹、尾崎将司、中嶋常幸が3人並んでウォームアップを行った。後方から眺めていると、日向灘から昇る朝陽が逆光となって、神々しいまでに3人の姿を輝かせていた。
第1回大会(1972年)から今年の第44回大会まで、すべてに出場しているのは尾崎だけだ。70歳になったレジェンドは、4年ぶりの松山との同組ラウンド。初日は6オーバーの81位に沈んだが、上がり3ホールで2バーディを奪う意地を見せた。松山は少年のようなまなざしで、「SWでスピンを掛けるアプローチとか、自分じゃ打てないものもあった。それに、最後もここで入れたらカッコイイなというところで入れるのは本当にカッコイイ」と目をキラキラさせた。
「前半は、ティショットが当たらなくて面白くなかった」と尾崎は言う。前半14番では、こすり気味のティショットが右ラフにつかまり、下り傾斜のフェアウェイをとらえた松山の球とは100yd近い差をつけられた。18番(パー5)は、オナーの松山が300yd超えのティショットをフェアウェイに放った後、宮里優作は左に引っ張り松林へ、尾崎は右へと吹かすテンプラ気味のミスショット。足元に落ちたティを見失うと、松山が拾ってくれた。
「アイアンもシャフトを変えたんだよ。練習はしないのにクラブだけは変えるんだよ。そういう楽しみがある。それが大失敗をこいてな」と、自身のプレーを自嘲気味に振り返った。
「松山は世界のプレーヤーだから。松山にとってこのコースは短けえよな。普通にやってりゃ、きょうくらいのスコアで回ってくる。ずいぶん取りこぼしはあったけどな。内容は違うよ。よろしいんじゃないですか」と称える一方、「それに比べて優作はだめだったな。そう書いておいてくれ」と、5オーバーの選手会長に対しては尾崎節を炸裂させた。
ラウンド中、余計な会話は必要ないというのが持論。「試合中になぁなぁでしゃべるのは、ギャラリーに対しても良くない。なるべく口数を少なくな。やっぱりプレーを見に来ているんだから」という。
あすもきっと、18ホールをラウンドする。「もうちょっとティショットが当たらなければ…もう…まあ…」と、言葉を濁しながら歩き去った。(宮崎県宮崎市/今岡涼太)