青木功も絶賛 初勝利の塚田陽亮「自分が一番“ドM”だった」
世界のアオキをうならせた。茨城県で行われた「日本ゴルフツアー選手権 森ビル杯」最終日。31歳の塚田陽亮が待望のツアー初勝利を国内メジャータイトルで飾った。3オーバーの12位タイから出ると、ベストスコア「66」(パー71)をマークして通算2アンダー。後続に1打差で逃げ切った。同大会は6年連続でツアー初優勝者が誕生した。
勝負を決めた一打は、コースの名物にして、最難関ホールで生まれた。4mを沈めた13番でこの日6つ目のバーディを奪い、単独トップで迎えた17番。4日間の平均ストローク「4.64」と18ホール中、最も難度の高いパー4で、塚田は完璧な1Wショットを見せた。低弾道で300yd越えのドライブを見せ、残りは113yd。AWでピンそば2mをとらえ、会心のバーディを決めた。
続く最終18番はフェアウェイからの2打目で右サイドの木が視界に入ったが、得意のパンチショットのフェードボールでピン筋に運び、2パットでパーを拾ってホールアウト。「頭の中が真っ白で何も考えられなかった。いち早くトイレに行きたかった」。余韻に浸る間もなく、そのままクラブハウスに駆け込んだリーダー。ロッカールームで勝利を確信し、うれし涙を拭いてから3組後の最終組を悠然と待った。
シード選手として4年目の今シーズン。未勝利のまま先月24日に31歳になった。「いつも予選を通過するのかしないのか、というところで回っている」。最高難度に仕上げられた宍戸ヒルズカントリークラブでも優勝争いをしている実感は薄かった。「難しすぎて緊張している場合じゃなかった」という。計算も、駆け引きも、しない。いや、できない。ただ目の前のボールを叩くだけ。
「本当にこの試合は“ドM”じゃないと出来ない。きょうは自分が一番“ドM”だったということです」
その姿勢から放たれた“ウィニングショット”に驚嘆したのは、大会を主催する日本ゴルフツアー機構(JGTO)の青木功会長だった。「17番の(2打目の)ハーフショット、やろうと思ってもできない状況だった。良いショットだった」。無我夢中でつかんだ栄冠は、レジェンドの胸にも刻み込まれたはずだ。(茨城県笠間市/桂川洋一)