新規大会だけど歴代優勝者が6人!? “前回覇者”川村昌弘は感激
国内男子ツアー「パナソニックオープン選手権」は21日、千葉県の千葉カントリークラブ梅郷コースで開幕する。ツアーが発表した年間スケジュールによれば今季からスタートする「新規大会」だが、パンフレットや会場内では「歴代優勝者」を紹介中。気付く人はさほどいないかもしれないが、言われてみれば「どういうこと?」と疑問も湧く不思議な「第1回大会」となっている。
パナソニックオープンは、パナソニック株式会社が主催で、日本ツアーとアジアンツアーが共同主管。パナソニック社は「7回目の開催という認識」(大会広報)という見解をもとに、大会パンフレットや会場内の掲示には、歴代優勝者として谷原秀人、平塚哲二、川村昌弘ら6選手の名前を掲載している。この6選手が制したのは、2013年まで6年間開催された「アジアパシフィック・パナソニックオープン」。そう、「7回目」の根拠となる大会だ。
ところが、日本ゴルフツアー機構(JGTO)には、同じ主催者による大会でも1年以上の休止期間を挟むと次の開催は新規扱いになるという規約があり、14、15年に大会開催実績のなかったパナソニックオープンはこのケースにあたるという。新規大会ならば当たり前の話だが、JGTOの公式データとしては今大会の歴代優勝者は存在しない。
13年を最後にパナソニック社が主催から手を引いた「アジアパシフィック――」が、翌14年以降も「ダイヤモンドカップ」に吸収される形で「アジアパシフィック ダイヤモンドカップ」となり、大会史を積み重ね続けているという事実も分かりにくさを加速する。主催者に日本ゴルフ協会(JGA)、アジア太平洋ゴルフ連盟(APGC)が名を連ねるなど、開催方法としてもアジアパシフィックの継続性を保っている。
当然JGTOは、谷原、平塚ら6選手を「アジアパシフィック ダイヤモンドカップ」側の歴代優勝者としてカウントしている。ひとまずはツアーと主催者、それぞれの立場に基づく見解の相違にすぎないが、説明を聞かないと理解不能な「?」ではある。
ちなみに、パナソニック社の見解に基づくと直前大会になる2013年の「アジアパシフィック・パナソニックオープン」を制した川村昌弘には、うれしいサプライズをもたらした。歴代優勝者専用の駐車スペースがクラブハウス前の駐車場に用意されており、“ディフェンディングチャンピオン”川村の名前入りプレートが飾られていたのは、最前列の一番良いポジション。「初めてなので嬉しい」と、22歳のちょっとした優越感がくすぐられ、気分よく開幕を迎えられそうだった。(千葉県野田市/塚田達也)