日本OP史上最多アンダーパー 小平智の脳科学
兵庫県にある六甲国際GC東Cで行われた国内メジャー「日本オープン」2日目に、小平智がマークした11バーディ、1ボギーの「62」は、記録が残る1985年以降の最多アンダーパーを更新し、大会最少ストロークタイ、また前半「29」は大会史上9ホールの最少ストロークタイと、記録的なビッグスコアとなった。
この2日間を通して難しさ1位、この日の平均スコアは4.424(+0.424)だった最終18番では、同組で回ったアマチュア金谷拓実にプロの力を見せつけた。軽くフェードする1Wのティショットで左バンカーの上からフェアウェイへと落とし、残り205ydの2打目を5Iでピン上1mにぴたりとつけて3連続バーディ締め。「飛ぶしコントロールもうまい。ああいうプロになりたい」と、17歳の天才少年をうならせた。
「62」は自己ベスト。ブレークスルーのきっかけは、1カ月ほど前から取り組み始めたメンタル的なアプローチだと小平は言う。
「日本人がなぜビッグスコアを出せないかというと、守っちゃうというか、自分でストップをかけちゃうからなんだそうです。体の動きもすべては脳からの司令だから、マイナスなことは考えないようにやっている」
まだ勉強中という小平だが、目覚めさせてくれたのは「〈勝負脳〉の鍛え方」などの著作がある日本大学大学院教授の林成之氏の脳科学的な指導だという。
「最近は、なんで調子がいいのにスコアが出ないんだろうとか、もどかしかった。やっぱり殻を破りたいという気持ちはあった。今は“バーディを獲るのは当たり前”みたいな気持ちでやっています」
持ち前の攻めの姿勢に、論理的な後ろ盾を得た小平。「日本オープンは80年も続いている大会だし、歴代優勝者もすごい人ばかり。そこに名前を刻みたい」と、自身が目指すものも高らかに宣言した。(兵庫県神戸市/今岡涼太)