世界一の大砲 バッバ・ワトソンが御殿場にやってきた
「三井住友VISA太平洋マスターズ」の舞台、静岡県の太平洋クラブ御殿場コース。松山英樹がアマチュア優勝を飾った2011年大会の最終日、イーグルフィニッシュを決めた最終18番ホール(パー5)で、8Iで2オンに成功した際の残り距離は177ydだった。
松山の快挙から3年。バッバ・ワトソンは今年、プロアマ戦の同ホールで第1打を343ydぶっ飛ばすと、セカンドは残り150yd余りを9Iのスリークォーターショットで放った。
日本ツアー参戦は2005年以来。当時はこの大会と「ダンロップフェニックス」の2試合に出場した。「僕は06年にPGAツアーに本格的に出場したから、当時はナーバスになったり、恐がりながらプレーしたりするところもあった。まだ子供だったね」。だがその後、9年の間に「マスターズ」を2度制覇。36歳のバースデーウィークとなった前週は、中国で行われた「WGC HSBCチャンピオンズ」で通算7勝目を挙げた。
世界一の飛距離性能を誇るレフティは、開幕前日からピンクのドライバーでギャラリーを魅了した。富士山に向かって緩やかに上っていく5番ホール、右の林に低いライナー性のボールが飛び出したかと思えた第1打は、フェアウェイバンカーを越えた右のラフへ到達した。
「このコースはパー3が全体的に難しい。特に池のある17番。あとは6番のパー5は右サイドの林が気になる」。変幻自在のショットでどう攻めるか。和やかムードの中にも、緊張感を存分に漂わせながらコースチェックした。
「米国以外の土地で勝つことは、自分のキャリアにとっても大きな意味になる」という。セベ・バレステロス、ホセ・マリア・オラサバル、グレッグ・ノーマンにリー・ウェストウッドといった世界的名選手が歴代チャンピオンとなってきた伝統のトーナメント。そこに名を刻む準備は万端整えた。(静岡県御殿場市/桂川洋一)