藤田寛之の男泣き!もっと早く勝ちたかった
福岡県の芥屋GCで開催された「アールズエバーラスティングKBCオーガスタゴルフトーナメント」を制したのは、福岡で生まれ育った藤田寛之だった。
テレビ中継の優勝インタビューで「この大会は勝ちたい試合の1つでした。でも、本当はもっと早く勝ちたかった・・・」と涙を流し、声を詰まらせた。ゴルフを始めた中学生時代に父・寛実(ひろみ)さんに連れられ、初めてプロのトーナメントを観戦し、その後プロを目指すきっかけとなった思い出の大会だ。
プロになってツアーに出場できるようになった時から、いつか両親の前で優勝したいという思いはあった。それが、さらに強くなったのは2年前。「試合を観にきていた父が医務室でお世話になってしまって。父もそれからは気が引けたみたいでコースまでは来ないんです」。
現在75歳の寛実さんは、数年前から脳梗塞や心筋梗塞で倒れた経験があり、今は自宅で静養をしている。「ちなみに父は元気ですよ。危ないとかじゃないですから。今週も2日は実家で夕食を摂りました。でも実家に泊まると『あの何番のダボはどうした』とか、いろいろ言われてしまうので、長居はしないようにしています」。
この日テレビ観戦をしている両親を気にかけ「こんなに長く試合してしまいましたが、このインタビューとか放送されますか?」と心配になる藤田。放送には入らないことを知ると「電話で報告します」と、少し残念そうにうつむいた。
予選2日間は、同じく福岡出身の手嶋多一、小田孔明と3人でのペアリングとなった。「手嶋さんも小田も予選落ちしてしまったので、多くの方から2人の分も頑張れよって声をかけていただきました。今日もロープの外から何度も名前を呼んでいただいて嬉しかったです。また、地元を離れますが、これからも福岡から声援をお願いします」。
ツアー通算17度目の優勝で地元に錦を飾るという念願を1つ達成した藤田。それは自分を育ててくれた福岡の地と、なにより両親に対する感謝の気持ちから初めて見せた、涙の優勝インタビューだった。(福岡県糸島市/本橋英治)