下地は24時間の猛特訓? 竹谷佳孝が首位浮上
国内男子ツアーの今季メジャー第2戦「日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills」の2日目。13位から出たツアー未勝利の竹谷佳孝が7バーディ、ノーボギー、この日のベストスコア「65」をマークし、通算10アンダーの首位タイへと駆け上がった。
グリーン上での輝きが、169センチの小柄な体を大きく見せた。「昔からあまり悩んだことがない」という得意のパットは23打を記録。スタートの1番で3メートルを入れてバーディ先行、5番、7番で5メートルを決めるなど前半を5アンダーで折り返す。14番では「合わせにいったら、たまたま入った」という約12メートル、下りのスネークラインをねじ込んで7個目。「出来すぎです。コツコツとやってきたご褒美」と、恐縮気味にプレーを振り返った。
山口県出身。宇部鴻城高校時代は野球に明け暮れたが、キャプテンに任命されて間もない2年生の秋に悲劇が起きた。練習中、背中に強い衝撃を感じた直後に「1分ほど記憶が飛んだ」。搬送先の病院で『脊椎分離症』と診断され、腰の故障で若くして野球を断念。そして、この挫折がプロゴルファーへの道を歩む転機となった。
高校3年の1月に、父親と練習場に行ったのがゴルフにのめりこんだきっかけ。卒業後は福岡県にある九州ゴルフ専門学校に入学し、4年間に渡って腕を磨いた。平日はゴルフのルールやマナーを学びながら、校内にある室内レンジで夕方から夜が更けるまで、毎日約1,000球を打ち込む日々。時にはクラスメートたちと休憩を交えながら「24時間、打ったこともある」と、その数は3,000球にも上ったという。土日は所属コースでキャディをしながらラウンド練習に励み、急ピッチで上達。卒業から4年後の06年にプロテストに合格し、同年は新人戦で優勝も遂げた。
これまでレギュラーツアーでの実績は少ないが、昨年は下部のチャレンジツアーで初優勝。さらに今季の国内開幕戦「東建ホームメイトカップ」ではキャリアハイの14位に入るなど、着々と足場を固めつつある。初めての最終組で迎える明日のムービングデー。「緊張すると思うけど、自分らしいプレーを続けたい」。これまで通り、コツコツと。明日もグリーン上で初優勝への道を切り開けるか。(茨城県笠間市/塚田達也)