7年ぶりVへ 手嶋多一の勝負は今夜のベッドから
国内男子の今季メジャー初戦「日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯」の3日目。5アンダー3位タイで出た手嶋多一が6バーディ、3ボギーとスコアを3つ伸ばし、通算8アンダーの単独首位に浮上した。
1番パー5で2打目をグリーン手前のクリーク(小川)に入れてボギーを先行したが、3番パー3で4メートル、4番で2メートルを決めて連続バーディを奪取。その後も2つのボギーをたたいたが、チャンスにつけた4ホールできっちりバーディをものにし、スコアを伸ばした。
「とにかく今週のテーマはダブルボギーをたたかないこと。ティショットがラフに行ったらボギーを覚悟して絶対に無理はしないようにしています。1番はクリークでしたが、芝の上にあったので打てるかと思いました。でも、少し芝が軟らか過ぎたので、大トラブルになることも考えて、戻ってドロップの処置をしました」。
中盤には雨が激しく降り始めた。「7番で急に雨が強くなりまして、パー5だし勇気をもって狙ったら2オンに成功して7メートルにつけられました」。守ってばかりではスコアが伸びない。攻めるときには攻める。コースとの駆け引きがベテランの真骨頂だ。
「ショットは調子がいいんですよね。去年は原因不明で71キロまで体重が落ちたけど、今は75キロまで戻って飛距離も出るようになりました」。契約先の主催大会だった前週も9位に入っており、好調を維持している。
ところが、手嶋は「先週の流れが今週も…」と逆に不安に思っている。契約先大会では例年、「初日だけ良くて、2日目に崩れる」というジンクスがあったのに、今年は「2日目に崩れるはずが3日目に崩れた」。不安を先回りして気持ちの準備をするタイプの手嶋は、それも流れとして受け止めており、「今週は3日目に崩れると思っていた」という今大会は、その流れで「今日首位に浮上してしまうし、明日が怖いですね…」となる。
数々の辛酸もなめてきた勝負師ゆえに、好調と表裏一体の不安感を拭い去れず、どこか落ち着かない気持ちになってしまうのだ。
もちろん「優勝」という話題には消極的。「ここ何年かはシード取るのがやっとだから。それに考えてしまったら、今夜は眠れなくなっちゃうじゃないですか(笑)。でも、いい位置でチャンスもあるのでできたらいいですね」。7年ぶりの7勝目、そして2001年「日本オープンゴルフ選手権競技」以来13年ぶりのメジャー2勝目へ。第1関門は今夜のベッドの中だ。(兵庫県西脇市/本橋英治)