池田勇太 雑音を振り払い年間2勝目へ集中
「カシオワールドオープンゴルフトーナメント」は3年ぶりの出場となる池田勇太。大会3日目は松山英樹、小田孔明と最終組を形成し、大ギャラリーを引き連れてプレーすると、4バーディノーボギーの「68」、通算8アンダーとして首位に2打差の2位タイでフィニッシュ。2日連続となる最終組で、後輩・松山を追いかける。
「2人が朝からガボガボ入れていたからね。私は静かにやろうと思いました」と、同組2人の1番からのバーディ攻勢にも池田は悠然と構えていた。2番で5メートルを沈め、8番(パー3)ではティショットをピンそば50センチにぴたり。15番でもバーディを奪って通算7アンダーとした。
しかし17番で事件が起きた。ティショットを大きく右サイドに曲げた松山が、カート道からの救済を受けることになった。その様子を撮ろうと10人以上のカメラマンが殺到。周囲にシャッター音が響き渡ったが、それはフェアウェイにいた小田孔明が、第2打のダウンスイングに入った時と重なった。
それを見た池田の堪忍袋の緒が切れた。同伴競技者への配慮が足りないカメラマンたちの失態を大声でどなりつけ、優勝争いをする最終組の空気が一瞬で凍りついた。
小田は「(カメラマンは)こっちを見てなかったんでしょう。まさか撮ると思ってないから、こっちはスイングに入っているし、あそこでカシャカシャやられたらさすがにキレます。優勝争いをしている時くらいは、さすがに気を遣ってほしいと思う」と振り返ったが、その怒りを即座に代弁したのは選手会長の方だった。
それでも池田はその17番をパー、18番(パー5)では2オンに成功してのバーディ締め。「久しぶりに良い勝負ができている。明日もおなじメンツで楽しくやりたいね」と、ホールアウト後はさらりとしたものだった。史上初のルーキー賞金王へ挑む松山に視線が集中するが、池田にとっては年頭に口にした“年間2勝”を達成する大きなチャンス。鬱積する怒りと不満は、コース上のプレーで発散するのが池田流だ。(高知県芸西村/今岡涼太)