同窓対決!先輩・小林正則が見せた意地の勝負パット
最終日が降雨のためサスペンデッドとなり、21年ぶりに最終ラウンドが月曜日に持ち越された「日本オープンゴルフ選手権競技」。茨城ゴルフ倶楽部 東コースで行われた“日本一決定戦”を制したのは、首位に3打差の2位から出た小林正則だった。6バーディ、2ボギーの「67」をマークして、同組で回った前日首位の小田孔明を逆転。通算10アンダーでツアー3勝目、国内メジャー初勝利を飾った。
ウィークデーまでもつれ込んだ最終日に会場を訪れたギャラリーはわずか967人。しかし、初のメジャータイトルを狙った最終組にかかる重圧は、やはり例年と変わらなかった。出だしの1番からボギーを叩き、チャンスをなかなか作れない苦しい展開を強いられたのは単独首位から出た小田。そして小林も2番(パー3)でバーディを先行させながらも、3番、5番と1メートルを外してボギーとするなど、一気に混戦模様となった。
しかし、追う小林は7番で5メートルのバーディパットを決め、この日初めてのガッツポーズ。「5番でバーディチャンスから3パットして流れが悪くなっていた。“ここは”と無意識に出ました」。続く8番でも4メートルを沈めて2連続。シーズン中盤にグリーン上での勝負に悩み、試行錯誤の末に辿り着いたクロスハンド、クローズスタンスの新しいパッティングスタイルが、大一番で効果を発揮。後半10番のバーディで、単独トップの座をものにした。
“マンデーバックナイン”も、相手を寄せ付けない。15番(パー5)、バーディチャンスは1メートルながら、ボールは置くことすら困難な傾斜地にあった。「外したら2メートルは行っていた」。しかし小田が第3打をピンそば30センチにつけてバーディ確実にしていたため、小林は勝負に出た。「3パットでもいいから真っ直ぐ行こう」―。
東京学館浦安高(千葉県)の3学年下の後輩・小田は、既にツアー6勝。これまでのキャリアでは到底敵わない。だが、勝負どころで先輩の意地を見せ、ねじ込んでみせた。「信じられない。半分は『早く終わってくれ』という感じと、半分は『この(優勝争いの)気持ちをずっと味わいたい』という感じだった」。
初日から3日間、いずれも「69」をマーク。じわじわと順位を上げたにもかかわらず「優勝なんか狙えるはずはない」と日々、繰り返してきた。しかし「僕はあまり口に出して言うタイプではないけれど、心の中では最後まで諦めない強い気持ちでやっていた」と闘志は内に秘めて戦い抜いた。
一方の小田は2007年大会以来、単独首位で迎えた最終日に再び逆転負け。悔し涙をこぼさんばかりの表情で「肝心なところでパットが入らなかった。(順延の影響?)そんなのは関係ない。それでも勝てないのがジャパンオープン」とうつむいた。
それでも「運もなかったけれど、(きょうは)小林さんが上手かった」と潔い。悲願のメジャータイトルはまたもつかみ損なったが「残りシーズンで、このリベンジを絶対にしたい」と精一杯誓っていた。(茨城県つくばみらい市/桂川洋一)