2013年 日本オープンゴルフ選手権競技

出身はオマーン 米国からの逆輸入アマ・平井神人

2013/10/17 19:44
幼いころから海外で生活してきたアマチュアの平井。日本語より英語の方が得意みたい

国内最大のオープントーナメント「日本オープンゴルフ選手権競技」は毎年、最高の栄誉を勝ち得た優勝者とともに、決勝ラウンドを終えて最高位でフィニッシュしたアマチュア選手にも重みのあるタイトル「ローアマチュア」を授与し、表彰している。

歴代のローアマチュアには中嶋常幸伊澤利光丸山茂樹片山晋呉池田勇太松山英樹らそうそうたる名前が並ぶ。そして今年、その座に最も近い位置、出場アマでトップの1アンダー19位タイで初日を終えたのは、豪州出身のキャメロン・デービス、そして大会初出場の平井神人(ひらい・かみと)だ。

「練習ラウンドも、今日の最初の3ホールもすごく緊張しました」と初々しく初日のラウンドを振り返った22歳の平井は、異色の経歴を持つニューフェイス。両親ともに日本人ながら、世界銀行に勤めていた父・隆行さんの仕事の関係で、中東のオマーンで生まれ、5歳からは米国で生活を続けている。

テレビで見たタイガー・ウッズに憧れ、ゴルフを始めたのは10歳の時。現在はサウスカロライナ州在住で、来年6月に全米オープンが開催される名門クラブ「パインハーストNo.2」の近くのコースで予約受付のアルバイトをしながら腕を磨く。時給は8ドルだが、朝から晩までゴルフ場で過ごす日々を送っているという。

予選会を通過して出場した今大会が初の日本のツアー参戦。東京に住む祖母のもとへは毎年訪れていたが、プレーしている姿を初めて披露することができ「嬉しかった」と笑った。

そして、今大会の活躍を見せたい相手がもう一人。ゴルフを始めるきっかけを与えてくれた父は8年前、がんのため他界した。首にぶら下げたペンダントトップには、遺灰が形見として入っている。

「絶対にどこかで見てくれていると思う。お父さんが満足するゴルフをしたい」。今大会終了後にはプロ転向も視野に。亡き父への思いを秘めながら、トップアマの勲章を狙う。(茨城県つくばみらい市/桂川洋一)

2013年 日本オープンゴルフ選手権競技