「大丈夫ですかね、僕なんかで・・・」全英出場権獲得者の本音
ゴルファーならば、誰もが憧れるメジャー大会。中でも、世界最古のオープン競技として1860年に第1回大会が行われた「全英オープン」は、英語名称では「The Open」。特定の地域名がつかない唯一のメジャー大会だ。
今週行われた「全英への道~ミズノオープン」では、上位4名に「全英オープン」出場権が与えられる。だが、見事にその切符を掴んだ選手たちの中にも、出場に向けては微妙な心理が見え隠れする。
今大会で単独3位に入った井上信は、左手親指付け根の負傷も影響し、2011年に賞金ランキング85位でシードを落とした。昨年はチャレンジツアーを主戦場にして、年間ランキング7位で今年前半のレギュラーツアー出場権を確保しており、目下の心配は出場優先権をその時点の成績で並べ直す“リランキング”。次週終了後に行われる第1回のリランキングでは、今大会の獲得賞金748万円を追加して4位となり、まずは一安心というところだが、行くからにはそれなりの覚悟も必要だ。
「大丈夫ですかね、僕なんかで・・・」と不安そうな井上。「自分が行けるなんて思っていなかったし、シードを落としてリランキングの身ですからね」と突然掴んだ世界最高峰の戦いの舞台に戸惑いは隠せない。「我慢してやってきたから、“やってこい”ってことなんですかね」。まだ親指の怪我も癒えていないだけに、勢い込んで乗り込むという雰囲気とはほど遠い。
一方で、片山晋呉は「単発で行っても通用しないのは自分が一番分かっているからね」と、より実務的だ。「どこまで通用するかとかは言っちゃいけないでしょうね」と、結果を求めると厳しい戦いになることは、経験から知っている。
スタッフ数名を引き連れて1週間ほどイギリスに滞在するのに掛かる費用、往復での疲労や、寒く慣れない土地で体調を崩すリスク・・・。分厚いフィールドを前にして予選突破をすることも簡単ではないが、それに挑む為の準備も大仕事。その代わり、得られる経験や可能性はプライスレスだ。(岡山県笠岡市/今岡涼太)