諸藤将次が2週連続Vへ急浮上!飛ばしの秘密とは?
三重県のTOSHIN Lake Wood Golf Clubで開催中の国内男子ツアーの第14戦「TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN LakeWood」2日目。1アンダーの38位タイから出た諸藤将次が一気に8ストローク伸ばして通算9アンダーとし、トップの津曲泰弦に5打差の5位タイに急浮上した。
スタートの10番で4メートルを沈めてバーディ発進を決めた諸藤は、13番で圧巻のプレーを見せた。右ドッグレッグのパー5。ドライバーで右サイドにそびえる木々の上空へティショットを打ち込むと、ボールはフェアウェイセンターをとらえる。すると残り168ヤードの打ち上げの第2打を8番アイアンで放ったボールは、カップをかすめてピンそば20センチにピタリ。キャリア初のアルバトロスは逃したが“お先”でイーグルを決めた。
続く3番でティショットをグリーン右に外してボギーとしてしまうが、その後6つのバーディを奪う猛チャージ。セカンドショット以降を次々とピンに絡めてチャンスを作り、結局自己ベストの「64」をマークして、上位で決勝ラウンド進出を果たした。
前週の「フジサンケイクラシック」でツアー初優勝をマーク。今季のドライビングティスタンス部門で現在第1位の飛ばし屋は、痩せ形体型にスラリと伸びた手足からはそのビッグドライブは想像しにくい。だがまるでバネ仕掛けのコマのように回転するスピードにギャラリーは驚きの表情を見せる。
飛ばしのコツ、と聞かれると「自分ではちょっと分からない…」と苦笑いで困惑。だがドライバーで毎秒55m/sのヘッドスピードを持つ豪快なスイングは「自分ではあまり力を入れていないんです。7割くらいかな」だそう。「アマチュアの方を見ていると、飛ばそうとして無理に振ることが多いような…。でも大きく振れば速く振れるものでもない。自分の振れる(オーバースイングにならない)範囲で力を入れた方がいいのかも」と言い、ミート率の大切さも強調する。
しかし日本一の飛ばし屋は、“コツ”だけでは務まらない。ルーツを小学生時代からひも解くと、小さいころから短距離走が大好きだった。学生時代の50メートル走は5秒8が自己ベスト。「それ以上は走れない。計ったことも無い」と笑うが、その才能はプロ野球・巨人の原辰徳監督にも見抜かれていた。数年前、宮崎でプライベートラウンドをともにした際、「キミ、足が速いだろう」と瞬発力を讃えられたという。
2週連続優勝へ向け、首位とは5打差。練習ラウンドをともにする谷口徹からは「ここはお前に向いている」と言われた。トリッキーなフェアウェイとハザードの配置に加え、硬く締まったグリーンを攻略するには、少しでも飛距離を稼いでショートアイアンで高いボールを放つスタイルが有効。今季ここまで、2勝目を挙げた選手はまだいない。わずか一週間前は初のシード権確保が目標だったが、一気にスターダムにのし上がるチャンスだ。(三重県津市/桂川洋一)