日本初優勝のベ・サンムンは米ツアー参戦へ照準
2008年から2年連続で韓国ツアーの賞金王に輝いたベ・サンムンが悲願の日本ツアー初勝利を飾った。福岡県の芥屋ゴルフ倶楽部で行われた国内男子ツアー第12戦「VanaH杯KBCオーガスタ」は、4日間トップを守り続けた25歳が、最終日「67」と5つスコアを伸ばし、通算22アンダーで逃げ切った。
優勝シーンは少しの驚きを呼んだ。近藤共弘に1打差をつけて迎えた最終18番。べはバーディパットをわずかに外すと、近藤がボギーパットを打つ前に、そのままカップ手前10センチのボールをタップインした。優勝が確実なケースでは、2位以下の選手が先にプレーを終えて、勝者の集大成であるウイニングパットを最後に打たせるのが“通例”。だが、べは「マークしたら近藤選手のラインの邪魔になってしまう。僕も初めてだったけど」と、まさかの“お先パット”で日本1勝を手にした。
日本ツアーに本格参戦して2年目。昨年はその実力をいきなり発揮し賞金ランキング29位に食い込んだ。しかし今季も「つるやオープン」、「日本プロゴルフ選手権」、「ミズノオープン」などで優勝争いを演じながらも、最終日に苦しんできた。その間、J.B.パク、ハン・ジュンゴン、チョ・ミンギュといった同郷のライバルたちが次々と日本ツアー初優勝をマーク。17歳でプロ転向しエリート街道を突き進んできた男は、悲運のシーンが目立っていた。
180センチの恵まれた体格から繰り出される豪快なドライバーショットから、韓国では「飛ばし屋サンムン」、そしてメジャー大会で無類の強さを発揮したことから「メジャーキラー」と呼ばれていた。今後は来季の米ツアー参戦を狙い、同学年のキム・キョンテと同様、年末には米国で予選会に参加する予定。「タイガー・ウッズを目指してきたが、最近はウッズの成績が良くないので、新しい目標を探しているところ」と笑ったが、その目は既に世界を向いている。
今季の国内男子ツアーこれで12試合を消化。ここまでの優勝者は6人の日本人とオーストラリア出身のブレンダン・ジョーンズ、そして韓国勢が5人となった。その5人目のチャンピオンは「韓国人の選手が、日本のコースに慣れてきた。これからもたくさんの選手に勝てるチャンスがあると思う」と、真っ直ぐな視線で話した。(福岡県糸島市/桂川洋一)