「何でこのゴルフで…」 木下裕太が2年連続で年下から受けた“いじり”
◇国内男子◇バンテリン東海クラシック 3日目(30日)◇三好CC西コース (愛知)◇7300yd(パー71)◇曇り(観衆3503人)
左サイドが崖になっている名物16番(パー3)、木下裕太は1.5mのバーディパットをショートした。痛恨の一打でも「ショックだった反面、16番をパーで抜けられたという気持ちもあった。(チャンスに絡めて)ちょっとでき過ぎた感はあったので、『ここをパーで抜けたらバーディみたいなものだ』とプラスに考えようって」と切り替えることができたという。
17番はフェアウェイバンカーからのセカンドをピン手前にキャリーさせ、硬いグリーンを転がして数十センチに絡め、「(直前にショートしたけど)さすがにこれは入る!」とタップインバーディ。18番もセカンドの番手を6番か7番で迷った。「プレッシャーがかかって、大きめのクラブでコントロールするのは無理だと思った。小さい番手を100%の力で振り抜いたら、狙い通り」。2連続バーディで通算11アンダーとし、首位に並んで終えた。
理想的なポジティブ思考は「できない時が9割」と自虐節が漏れるものの、残りの“1割”をひいた今週は乗りに乗っている。ショットの状態、パットのフィーリングも相まって、攻めも守りも完ぺきだ。
「何でこのゴルフをしていて、その賞金ランキングなんですか?」――。ラウンド中、同組の木下稜介が冗談交じりに言ってきたほどのプレー。トップ選手が苦しむタフなコースを攻略する力を持ちながら、今季ここまでの獲得賞金は450万円に届かず、ランク87位に沈む現状とのギャップを物語る。
「稜介には、去年も全く同じことを言われたんです」と明かす。昨年10月「HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP」最終日、やはり同組だったラウンドでホールインワンを決めるなど7位に入り、シード圏内に飛び込んだ。後輩プレーヤーからの2年連続の“いじり”にも「同じ木下で回りやすいというか、相性がいい可能性がありますねえ」と笑いながら、いつもシーズンが佳境を迎える秋からエンジンがかかっていく自分に首をひねる。
賞金ランク2位の金谷拓実とともにトーナメントをリードして迎えるラスト18ホール。「星野(陸也)くんもいますし、最強の相手だと思うんですよ。本気で勉強させてもらいます」と言った後に「ここまで来たら、勝ちたいですね」。とにかく謙虚な37歳が、チラリと野望を口にした。(愛知県みよし市/亀山泰宏)