中島啓太は中盤から金谷拓実のスコアにロックオン 火花散る賞金レース
◇国内男子◇パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ 最終日(24日)◇小野東洋GC(兵庫)◇7113yd(パー72)◇晴れ(観衆2098人)
首位から最下位までの順位が流れる電光掲示板を、中島啓太はラウンドしながら念入りに確認していた。求めていた情報は首位のスコアでなければ、自分の順位でもない。「もう僕は優勝争いのスコアではなかった。途中から金谷さんのスコアを自分のゴールにして、スコアボードのあるところではしっかりチェックしていました。一緒に回っていないなかでの優勝争い。そんな“仮定”をしてやっていました」
初日の出遅れが響き、首位と7打差13位から出た最終日の中盤。賞金ランキング1位の中島はそんなことを考えながら、同2位につける金谷拓実の動向だけを見てプレーしていたという。
前半2番(パー5)でバーディを先行させたが、5番(パー5)のティショットで痛恨のOB。追い上げの気運を削ぐダブルボギーをたたき、後半のモチベーションを保つために目標を切り替えた。
今大会を終えると今シーズンは残り9試合。賞金王に向けてはもちろんだが、11月13日時点の賞金ランク1位は米下部コーンフェリーツアーの予選会にファイナルステージから臨めるとあり、トップの座は誰にもゆずれない。2位につける金谷との差はわずか334万円。ジュニア時代からタイトルを争い続けてきた身近な先輩は、尊敬しつつも勝ちたいと思う常に意識する存在だ。
ダブルボギー後はスコアを落とすことなくバーディを量産。最終18番で5mのバーディパットを沈める前にも、金谷のスコアをしっかりと確認した。「金谷さんに1打リードしているのは分かっていた。あとは入れたらトップ10に入るだろうなって。決め打ちすれば入る」。イメージ通りのバーディ締めで「68」とし、通算13アンダーの8位でフィニッシュ。16位に終わった金谷との差を約474万円にひろげた。
次戦は28日(木)開幕の「バンテリン東海クラシック」(愛知・三好CC西コース)。「優勝争いに加われずに悔しかったけれど、今週より来週の方が試合勘やゲームの流れは絶対にいいはず。いい結果で終われるようにしたい」と力を込めた。
一方で、金谷も「とにかく優勝して、賞金王を目指したい」とタイトルに向けて闘志を燃やす。今週は「ティショットとアイアンの精度が良くなかった。自分の思うようにプレーできなかった」と気持ちと成果が結びつかなかったが、今季2勝を挙げている勢いは変わらない。「10月からは日本オープンやZOZO、終盤戦にも大きな試合がある。そこに向けてすごくいい調子を持っていきたい」と逆転の機会をうかがっている。中島と同じく、コーンフェリーツアーの予選会もターゲットのひとつだ。
今季の平均ストロークでは、全体1位の69.099をマーク。データが残る1985年以降、これまで68台でシーズンを終えたのは尾崎将司(1995年、96年、97年)しかいない。「いいプレーをすれば上がるはず。勝ちたいからそれに向けて準備しているし、優勝スコアがいくつなのかその週によって分からないので、どんな時でも一打一打を一生懸命プレーすることが大事」と話した。
シーズン終盤戦へ進むにつれて加熱する賞金王争い。10月を前に、すでにバチバチと火花が散っている。(兵庫県小野市/石井操)