永久シード選手も絶賛の金谷拓実 “弟分”の挑戦を受けて立つ
◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 3日目(14日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70)
「最後のバーディでトップに近い位置で終われた。チャンスは残ったと思います」。執念のプレーで連覇への望みをつないだ。最終18番(パー5)、2打目をグリーン右手前の池にこぼした金谷拓実は、右足を水につけてウォーターショットを披露した。ボールはピンそば1.5mに寄り、パットをねじ込んで首位との差を3打に縮めた。
アマチュアとして優勝した前年大会は3日目を終えて首位だった。プロとして臨んだ今年は6位で最終日を迎える。今週初めまで続いた、米国帰りの2週間の自主隔離の影響も言い訳にしない。練習ラウンドをも含めて、この日がブランク明け4ラウンド目にもかかわらず「67」をマーク。それでいて、「ショットの調子は上がっているが、パットを決めきれなかった。良いスコアですけど悔しい気持ちもあります」と満足していない。
そんなルーキーに目を細めるのが47歳の片山晋呉だ。金谷のアマチュア時代に仙台でのツアー外競技で一緒にプレーした経験があり、当時以来の同組になった。「良いものを持っている。素晴らしい。このまま世界に通用するようになって欲しい。やっぱり、“いい目”をしている」と成長度合いも確認した。
身体が特別大きいわけでもなく、飛距離性能に秀でているわけでもない。だが、強い。そんな22歳のプレースタイルを、「18番のプレーにしても、一見地味に見えるけれど、僕がすごく好きなゴルフをしている。“ザ・ゴルフ”」と絶賛する。「すごく考えて、どうやったら自分が上手くなれるかを考えて練習をしている」。ゴルファーとしての日々に、真摯に向き合う姿勢も称賛した。
アマチュア時代に切磋琢磨してきた2つ年下の中島啓太(日体大2年)が首位に1打差の3位タイにいる。「(自分が)ハーフターンしたときに啓太くんが7アンダーのトップにいて、すごいなあと思った。でも彼もいつ優勝してもおかしくない選手」と金谷。「でも僕も優勝を目指してやっている。とにかくベストを尽くしたい」。ビッグトロフィを易々と譲る気はない。(静岡県御殿場市/桂川洋一)