1.5mから3パット 佐藤大平はスーパーイーグルから初優勝がスルリ
◇国内男子◇フジサンケイクラシック 最終日(6日)◇富士桜カントリー倶楽部(山梨)◇7566yd(パー71)
初タイトルは手の届くところにあった。トップで迎えた17番(パー5)、1.5m弱のバーディパットは惜しくもはずれ、返しもカップをそれた。「“やる”だろうな…と思っていた。“やった”な…」。シード1年目の27歳、佐藤大平が16位タイから「65」の猛チャージを見せながら、プレーオフに1打足りず3位。待望のレギュラーツアー優勝はお預けになった。
同組の堀川に引っ張られるようにスコアを伸ばした佐藤は、15番(パー5)でスーパーショットを見せた。ピンまで残り約290ydの第2打、ドローボールはグリーン左奥に切られたピン目がけて飛び、グリーン上で転がってピンそば50㎝についた。会心のイーグルで争いに割り込んだが、最後のパー5で無念のボギー。
「メチャクチャ緊張しました。それまでは“のんびり”できていたのに…。あれを入れないと優勝争いできないと分かっていた。日本ではあまりなかったけれど、海外ではあった。自分がどういう状況か分かっていたところで、ああ(パットが)やって強めに入った。想像はできていたんです。まだまだですね。自分は。それだけです」と潔く言った。
2018年の下部AbemaTVツアー賞金王。19年「重慶選手権」で日本勢初となるPGAツアー・チャイナ優勝を果たし、国内ツアーでもシード権を獲得した。「中国ではアウエー。(自分が)パットを外したら、みんながガッツポーズ。でもあれがあるから、いまの自分がある」という厳しい環境も経験してきた。
春先は米国にわたり、合宿がてら、親交の深い大学OBの先輩・松山英樹に帯同した。PGAツアーの会場で練習ラウンドに付き添い、クラブを渡されて実際にショットさせてもらったこともある。「去年のZOZOチャンピオンシップも見させてもらった。(米ツアーは)全然違う。この舞台に立ちたいと思いました」。今大会で優勝すれば10月の「ZOZO」出場権を手にできたが、「行ったところで…。まだ早いと僕は感じると思う」と言うのも、ツアープロとしての眼でナマの現場を見て来たからだ。
8カ月ぶりのシーズン再開戦で、強烈なインパクトは残せた。なにせ17番でバーディパットを決め、18番をパーでしのげば通算10アンダーの単独首位でホールアウトできていた。「コロナで試合がない中、自分がやってきたことは間違っていなかった。成長は感じられました。先輩は…なんて言うでしょうね。結果は見てくれているはずなんで。でも、何を言われてもありがたい」。キツーイお叱りも、素直な気持ちで聞き入れる。(山梨県富士河口湖町/桂川洋一)