6パットの悪夢を克服 エルスが最終日「66」で14位
「(マスターズの)木曜日は、たぶん自分のゴルフ人生の中で最もタフなラウンドの1つだったと言えるだろう」。前週行われた海外メジャー「マスターズ」の初日に6パットの悪夢を経験したアーニー・エルス(南アフリカ)は、今週初めに更新した自身のブログにそう書き込んだ。
「でも、その後の自分のプレー内容には誇りを持った。誰1人として、このゲームより大きな(bigger)人はいないし、試合と、いつも自分の最善をつぎ込むこのスポーツを心から尊敬している」
エルスが書き込んだ、その言葉の意味がはっきりと分かったのは、今週の「RBCヘリテージ」が終わってからだった。
今大会最終日、エルスは6バーディ、1ボギーの「66」(パー71)で回って、14位タイに食い込んだ。スタッツを見てみると、パットのスコア貢献率はフィールドで堂々3位。パーオン時のパット数も、4日間で26位とオーガスタで負った傷跡は見えなかった。
前週を振り返ったエルスは、オーガスタの魔力が気を焦らせ「少し(ストロークが)速かったし、あのグリーンをどう攻略するかという情報が少し多すぎた」と回想した。「でも、すぐ対応に取り組んで、2日目のラスト10ホールくらいはパッティングも良くなって、不安はどこかに消えていた」という。
オーガスタのグリーン上でパトロンたちの嘆息を誘い、哀れみすら感じさせたエルスの姿はここにはなかった。
「自分は他のみんなと同じように、ただゴルフが大好きなんだ。みんなと同じように、より良くなるように努力をしている。父親があと5yd飛距離を伸ばそうとしていたように。ツアーのみんながどうしたらより良くなるか、快適にプレーできるかを考えるように。それが、我々がゴルフに対して感じている“愛”だと思う」
「ゴルフに悩まされることも、良いゴルフをすることも愛している。ゴルフはいつだって自分たちより一歩先を行っている。でもときどき、今日は自分の日だと思えるようなプレーができる。その瞬間をみんな愛しているんだと思う」
そのゆったりしたスイングと体躯から“ビッグ・イージー”と呼ばれるエルスだが、ゴルフに対する愛情もまた“ビッグ”だった。(サウスカロライナ州ヒルトンヘッドアイランド/今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka