フューリック 幸か?不幸か?“ケツカッチン”の最終組
最終18番で3mのパーパットを沈め、静かにガッツポーズを作ったジム・フューリック。午後6時過ぎのホールアウト後、公式会見場をあとにした彼は足早にコースを去った。
「WGCブリヂストンインビテーショナル」3日目、ジャスティン・ローズ(イングランド)に並ばれたものの、通算9アンダーで首位タイの座はキープ。「18番は初日、2日目とボギーだったから、パーで締めくくれてよかった」と話したが、内心は気が気ではなかったかもしれない。
彼にはこの直後に、別の予定が入っていた。6歳の頃から、アメリカンフットボールのプロリーグNFLのピッツバーグ・スティーラーズの大ファンであるフューリック。同チームでランニングバックとして活躍したジェローム・ベティスとは今では気心知れた仲で、お互いのチャリティにも貢献している。
そのベティスが今年、プロフットボール殿堂入りを果たすことになった。記念式典はファイヤーストーンCCから南に車で20分、オハイオ州カントンにある同殿堂で午後7時から開催。フューリックは事前に式典への出席を請われていた。
もちろん平凡な成績であれば、ホールアウト時刻は早く、セレモニーに十分間に合う。しかしながら、優勝争いを演じ、週末2日間はいずれも夕刻にラウンドが終わる最終組でプレーするのだから、運がいいというか、悪いというか…。
フューリックの脳裏には、この大会の苦い思い出が残る。悔しい惜敗の経験。しかも2度も。2001年大会ではタイガー・ウッズと7ホールにわたる死闘プレーオフに敗れ、12年大会では72ホール目でダブルボギーを叩いて単独首位から陥落した。
あすの最終日のあとには、NFLプレシーズンマッチのスタートを告げる、恒例の「殿堂ゲーム」が午後8時にキックオフされ、フューリックは再び当地を訪れる予定。おそらくVIP席に座るであろうベテランは、どんな顔で観戦するだろうか。(オハイオ州アクロン/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw