復活のために…今田竜二が漏らした今季最後の一言
「明日はいつもの僕に戻るかもしれない」――。好スコアだった初日のラウンド直後ですら、不吉な予感を口にしていた。ノースカロライナ州セッジフィールドで開催中の「ウィンダム選手権」2日目。4アンダー9位から出た今田竜二が4ボギー、2ダブルボギーの「78」と崩れて通算4オーバー133位で予選落ちを喫し、来季のシード復帰への道が再び遠のいた。
「昨日とは真逆で。気分屋なんですかね…」。出だし5ホールで3メートル前後のバーディパットを沈め勢いづいた初日。しかしこの日はスタートの10番でいきなり3パットボギー、14番はグリーン手前の花道からの第3打で、まさかの“ザックリ”ミスからダブルボギーを叩き、序盤から後退への道をたどった。
カラーからも含め“3パット”が相次いだ一日。「ここ数年はやっぱりパットに苦しんでいる。調子が良かった時はパットで流れを掴んでやってきた。ショット自体はもともと下手だから、そんなに変わってないと思うんですけど…流れを変えるパットが入らない」。苦悩を象徴するプレーが土壇場で眼前に表れた。
「昨日とは特に変わった心境もなかった。気負ったとしても、必ずしも悪くなるわけではないから」。悔しい急降下を、静かに受け入れた今田。
今大会終了後、現在195位のフェデックスカップランキングで200位以内をキープすれば、2週後に始まる全4戦の下部ツアー選手との“入れ替え戦”ウェブドットコムツアーファイナルズに参戦して再び来季の出場権獲得を狙えるが、他選手の動向で201位以下となれば、下部ツアーのQT受験というステージを踏む。
2008年に悲願のツアー初制覇を経て、12年末にシードを喪失した。だからキャリアを振り返れば、消えかけた闘志の火を再び大きくする作業はこれが初めてではない。「やり方、知ってます?」
「泣きながら、なんとかかんとか、やるしかないんです。苦しいし、つらいけど、僕にはこれしかない。他に才能があるわけではないしね。ゴルフしかないんで。ここで頑張るしかないんで。やっぱり結果がすべてなんですけど、それだけじゃないって思いながら頑張っていくしかない」
中学生時代に海を渡り、日本人選手の中で誰よりも長く、米国の厳しさに身を委ねてきた先駆者。黒いキャディバッグを肩に抱え、静かにクラブハウスに足を進めながら言った。「泣いてきます」――。
(ノースカロライナ州グリーンズボロ/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw