2014年 ウェルズファーゴ選手権

ダービー出走が呼び覚ますJ.B.ホームズの感慨

2014/05/04 12:05
公傷制度を利用して今季を戦うJ.B.ホームズ。単独首位で最終日を迎える(Richard Heathcote /Getty Images)

米国の競馬界で最大規模のイベントの1つ、ケンタッキーダービーが開催された4日。ノースカロライナ州で開催中の「ウェルズファーゴ選手権」は、ケンタッキー州出身のJ.B.ホームズが3日目を終えて通算13アンダーで単独首位に立ち、2008年以来となる久々のタイトルに王手をかけた。

13年シーズンが開幕して3ヶ月が過ぎようとした、昨年のちょうど今ごろ。ホームズはツアー会場ではなく、地元開催のケンタッキーダービーの会場にいた。5試合に出場後の3月、ローラーブレードを楽しんでいる際に左足首を骨折。手術後はリハビリのため、長期のツアー離脱を強いられていたためだ。

ホームズには公傷制度が適用され、約9ヶ月の離脱を経て今年1月の「ファーマーズインシュランスオープン」からツアー復帰。今季のシード権を得るためには、規定により出場できる19試合で58万299ドルを稼ぐ必要があったが、前週の「チューリッヒクラシック」で11位に入ったことで62万3,322ドルに達し、早くも最低限の目標はクリアした。そして、肩の荷が1つ降りた直後の今週は、勢いを一気に加速し、優勝さえ目前に迫るほどの好調ぶりだ。

直近3試合ではトップ20を外していない。復帰後から好調が続いている理由について、先週の誕生日で32歳となったホームズは、じりじりと長くも感じた約300日のブランクを挙げた。「ダービーの2週間後には(以前から患っていた)“テニスひじ”の手術をすることもできた。オフシーズンにはミドルゲームとショートゲームを磨けたし、とても良い状態で復帰することができたんだ。僕は大きく変わった」。

トーナメントから離れて競馬場にいた1年後。首位に立つプレーでトーナメントの会見場に招かれたホームズは「ここに来られてとても嬉しいし、明日のプレーが本当に楽しみだよ」と感慨深そうだった。

この会見、実は30分後にケンタッキーダービーの出走時間が迫る中でスタートしていた。報道陣が誘いをかける。笑って答えた。「たぶん、僕はレンジでボールを打っているから見ないと思うよ」。ホームズにとって優先すべき事柄は決まっていたようだ。(ノースカロライナ州シャーロット/塚田達也)

■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール

1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。

2014年 ウェルズファーゴ選手権