2013年 フライズドットコムオープン

首位に立った23歳の世界放浪ゴルファー

2013/10/12 15:32
世界転戦の経験が活きているというB.ケプカ(Richard Heathcote/Getty Images) ※画像は2013年 オメガ・ヨーロピアン・マスターズ

米国ツアー開幕戦「フライズドットコムオープン」2日目を終えて首位に立ったのはブルックス・ケプカという選手。今週は主催者推薦で出場しているケプカだが、PGAツアーは過去3試合(いずれもメジャー大会)に出場しているものの、まったく無名の選手といっていい。現在23歳でフロリダ州ウェストパームビーチ出身。だが、この男の過去2年を知れば、たんなる偶然でこの位置にいるわけではないことが分かるだろう。

2012年にフロリダ州立大を卒業したケプカは、当時アメリカのプロツアーでプレーする資格をなにも持っていなかった。アメリカ国内のミニツアーに参戦するという選択肢もあったが、「世界中を旅するのも悪くない」と、ケプカが選んだのは海を渡ってヨーロピアンツアーの下部ツアーに挑戦すること。参戦初年度の12年に早速1勝を挙げると、翌13年には3勝を挙げ、ヨーロピアンツアーの出場権をつかんだ。

その間、ケプカがプレーしたのは15の国と地域(インド、南アフリカ、ケニア、アメリカ、スペイン、イタリア、ポルトガル、ベルギー、チェコ、フランス、スコットランド、イングランド、ウェールズ、スイス、オランダ)に及ぶ。

ケニアでは通常15分から20分ほどの道のりを3時間以上も車でさまよい、「正直、少し怖かった」と冷や汗をたらしたこともある。そんな経験を通じて「旅の仕方や、自分をどうコントロールすればいいかを学んだ。ゴルフだけじゃなく、見たこともない場所や文化に触れて、人間的にも成長できたと思う」と胸を張る。

そんな彼にとって、フロリダから飛行機と車を乗りついで5時間足らずで着く西海岸は、「すべてがファーストクラス」とストレスがない。「なんのプレッシャーもないし、楽しむだけ」と、コース上で恐れるものはなにもない。

「Qスクールの仕組みが変わったから、何人かの若者が向こう(ヨーロッパ)にいくと思う。今年のQスクールには過去最大の申し込みがあったと思うよ」と言うケプカ。さて、日本からもこんな世界に飛び込む冒険心あふれる若者は、出てくるだろうか?(カリフォルニア州サンマーティン/今岡涼太)

■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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