2013年 マスターズ

夢舞台をジュニアに開放 オーガスタナショナルGCの方向性

2013/04/09 14:35
門戸開放を進めるオーガスタナショナル。限定的ではあるが、ジュニアゴルファーにプレーするチャンスを拡げた。

2013年度のメジャー初戦「マスターズ」開幕の3日前、オーガスタナショナルGCでは、聞きなれないイベントの発表が行われていた。その名も「Drive, Chip and Putt Championship」。7歳から15歳のジュニア世代のプレーヤーが、ドライバーショット、チッピング(アプローチ)、そしてパッティングの技術を競う新しい形の競技だ。

マスターズ委員会、全米ゴルフ協会(USGA)、PGAオブ・アメリカが先導するこのトーナメントは、7月から米国内で地域ごとの予選を開催。ストロークプレーやマッチプレーとは異なり、それぞれの技術に点数をつけるコンテストとなる。ドライバーショット部門を例にとると、30ヤードの横幅のフェアウェイに150~160ヤード飛ばせば10ポイント、200~210ヤードなら15ポイントを獲得といった具合。チップとパットは既定の距離からカップに寄せた長さを競い、合計点で争う。

大きな目玉となるのが、その決勝戦と言うべき最後の戦いを、オーガスタナショナルGCで行うことである。7~9歳、10~11歳、12歳~13歳、14歳~15歳の男女各年代の通過者88名(11地区、男女で4つの年齢カテゴリー)は、来年4月6日、2014年度マスターズの開幕直前の日曜日に、同コースの練習場と18番グリーンを舞台にプレーする。

マスターズ委員会のチェアマン、ビリー・ペイン氏は「これまでの歴史で、何人の世界中の偉大なゴルファーたちがマスターズタイトルを奪う、18番グリーンでのウイニングパットを見せてきてくれたことでしょう。同じような体験を子供たちと共有できたら、彼らにとっても実にスリリングだし、見るものを惹きつけるはずです」と訴えた。

ところで、昨年の大会ではクラブが女性会員を受け入れるかどうかという問題が大きな話題となった。当時はIBM社のバージニア・ロメッティCEOがメンバーとなるとの推察があったが、ペイン会長は公式会見で「プライベートクラブの問題」と、その件に関する質問を受け付けなかった。

しかし蓋を開けてみれば、8月には2人の新会員が誕生。コンドリーザ・ライス元国務長官と、金融家のダーラ・ムーア氏が長い“女人禁制”の歴史に終止符を打ったのだった。ちなみに今年、7日(日)には、練習ラウンドを行ったタイガー・ウッズが1番ティグラウンドで遭遇したライス氏とハグする様子も見られている。

これまで固く閉ざされていたオーガスタの扉は、時代の流れとともに開放が進んできた。女性の次は、今度は子供たちへ。そんなアピールがなんだか見え隠れするのは気のせいか。(ジョージア州オーガスタ/桂川洋一)

※『Drive, Chip and Putt Championship』
ホームページ:http://www.drivechipandputt.com/

■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

2013年 マスターズ