「全英」会場にワクチンセンターがあったので打ってもらった
◇メジャー第6戦◇全英オープン 3日目(17日)◇ロイヤルセントジョージズGC(イングランド)◇7189yd(パー70)
「全英オープン」の会場の中には例年、グッズショップやパビリオンなどが並ぶエリアがある。この第149回大会では、その一角にワクチン接種センターを開設。マスク姿のギャラリーもすっかり少なくなり、かつての熱狂を取り戻してきた感のあるコースでは、コロナ禍を象徴する数少ない光景かもしれない。
英国では啓蒙の一環として、テニスのウィンブルドンをはじめとする大規模イベントで同様にワクチン接種センターを設けてきた。今回はナショナルヘルスサービス(NHS)から大会を主催するR&Aにコンタクトを取り、急ピッチでセッティングを進めてきたという。
より多くのギャラリーが訪れる15日の初日に合わせて“開幕”。NHSの医師によると、その日だけで175人が接種した。予選ラウンドでは1日300~400人分を用意していた。
「ワクチン先進国」とされる英国。1日当たり最大3万2000人のギャラリー動員を認めている今大会は入場に際し、すでに2度接種していることの証明か簡易検査キットを使った陰性証明書の提示が求められている。センターを訪れる人の多くが2度目の接種で、特に若い世代が目立つ。
国内で中高年にワクチンが行き渡り、若年層の順番となったとき、各地の大規模センターに足を運ぶ人数が増えなかったことがこうした“ワクチンキャンペーン”を行うきっかけにもなっている。医師は「若い世代は仕事などで忙しい生活を送っているのでしょう。傾向として、待っているだけでは(大規模センターに)なかなか来ない。こちらから出向き、ワクチンを提供しなければならないことが分かったのです」と話した。
ワクチンは米ファイザー製と英アストラゼネカ製の2種類から選択でき、在留外国人も身分証明のパスポートを持ってくるだけで接種が可能。
記者も取材の合間に訪問(当然予約もなし)。1回目の接種であること、これから米国に行くことを伝えると「じゃあ、ファイザーね」。バッチナンバー(製造番号)と接種の日付が分かるカードを渡され、接種後15分間の待機を含めて30分ほどで終了した。証明書はメールで送られてくることになっている。まさか“ついで”で1回目が済むとは思ってもみなかった。(イングランド・サンドウィッチ/亀山泰宏)
※編注:国内外の取材は定められた隔離や検査を経て常時マスクを着用し、ソーシャルディスタンスを保って行っています。
■ 亀山泰宏(かめやまやすひろ) プロフィール
1987年、静岡県生まれ。スポーツ新聞社を経て2019年にGDO入社。高校時代にチームが甲子園に出場したときはメンバー外で記録員。当時、相手投手の攻略法を選手に授けたという身に覚えのないエピソードで取材を受け、記事になったことがある。