日の丸背負う渡邉彩香に罰金100万円 国別対抗戦をめぐる裏事情
リオデジャネイロ五輪のゴルフ競技は、4日間72ホールの個人戦ストロークプレーで争われる。団体戦でないことを嘆く声は小さくないが、五輪開幕の約1カ月前に米国女子ツアーで8カ国(地域)による団体戦「UL インターナショナルクラウン」(7月21日開幕)が行われる。個人戦ではない。1チーム4選手による、五輪前哨戦とも言える国別対抗戦のマッチプレーだ。
4月4日発表の世界ランキングで、各国上位4人の順位合計が小さい順に韓国、米国、日本、オーストラリア、台湾、タイ、イングランドの8カ国(地域)が出場権を獲得した。
その後、6月13日発表の世界ランキングで各国上位4選手が資格を得た。日本代表は、米国を主戦場とする野村敏京、宮里美香に加え、渡邉彩香、鈴木愛の国内組が出場する(大山志保はケガのため辞退)。ほかに国内女子ツアーからは台湾のテレサ・ルー、タイのポラニ・チュティチャイも参戦する。
ところで、国内女子ツアーのトーナメント規定では、シード選手が同一大会を2年連続で欠場することを禁じている(※海外メジャーや五輪の出場時を除く)。違反した際の罰金は100万円――。
今年、「UL インターナショナルクラウン」は国内ツアーの「センチュリー21レディス」と同週開催。渡邉とルーは昨年、海外メジャーの「全英リコー女子オープン」に出場するため、その前週開催の「センチュリー21レディス」を欠場した。このため、2人は今年、罰金100万円を払った上で、この国別対抗戦に出場することとなった。(※鈴木は昨年大会に出場、チュティチャイは昨年のシード選手に該当しないため、罰金はない)
同協会の小林浩美会長は「米ツアーがこの試合を五輪の前哨戦という位置づけでやろうとしていることは理解している。海外で日の丸を背負って戦う経験はプラスになるので、ぜひ頑張ってもらいたい」と言う。「何とか(罰金を)回避できる方法はないかと検討したが、規定上今回は徴収せざるを得なかった」と恐縮し「(次回の)2年後に向けては、規定変更の検討をお願いしている」と釈明した。
渡邉は致し方ないという表情で、こう語った。「前回(比嘉)真美子が出てすごく楽しそうだったし、団体戦は大好き。今年はぜひ出たいと思っていた。(罰金は)何とかならないかと、事情を説明する手紙も書いたけれど、小林会長からも『申し訳ないけどゴメン』と言われてしまった…」。罰金にもめげず出場を決めたのは、世界の強豪と戦いたいという気持ちが上回ったからだ。
なお、徴収した罰金は協会の育成基金に充当し、ジュニア育成や新人セミナーに使われるという。(千葉県袖ケ浦市/今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka