2016年 ANAインスピレーション

ANAが海外女子メジャーを主催する理由

2016/04/05 15:41
ANAがメーンスポンサーとなり2回目の開催。北米市場での新たな可能性を探る

3日に閉幕した女子ゴルフの今季海外メジャー初戦「ANAインスピレーション」。最終的には世界ランキング1位のリディア・コー(ニュージーランド)が勝利をさらったが、宮里藍の優勝争いも盛り上がりを見せた。かつて「クラフトナビスコ選手権」として行われてきた大会は、昨年から日本の航空大手である全日本空輸(ANA)がメーンスポンサーを務める。

昨年の大会時、全日空の平子裕志米州室長(現ANAホールディングス執行役員)は、スポンサーとなった理由を「日本やアジアで存在感を高め、新たなマーケットへ挑戦したいというLPGA(米国女子プロゴルフ協会)の考えと、ANAを北米市場でより多くのお客さまに知ってほしいという考えが一致した」と話した。

大会名にある「インスピレーション」は、2010年にニューヨーク路線から始めたブランド「Inspiration of Japan」にちなむ。「安全運航を基盤に、日本の先進性や技術力、礼儀正しく正確な気質と、おもてなしの心、旅のワクワク感や楽しさを届けたい」という思いを込めている。

カリフォルニア州ロサンゼルスの東、1年のうち354日の日照が望めるという砂漠気候のパームスプリングスにあるミッションヒルズCCには大会期間中、マーチャンダイジングセンターを設置。訪れたギャラリーに、全日空の機材や日本を紹介した。

ギャラリーたちがマーチャンダイジングセンターに訪れる

今年は新たな試みとして、開幕前の月曜日に『Inspiring Women in Sport Conference』と題したイベントを実施。アニカ・ソレンスタム、スキーのリンゼイ・ボン選手、競泳のメリッサ・フランクリン選手が、ニュースサイト「ハフィントン・ポスト」の創設者アリアナ・ハフィントンさんとともに登壇。女性アスリートを支援していくことをPRした。

就航する全米10都市で、今大会の本戦出場権をかけた『ジュニアインスピレーション』予選会も行った。LPGAの公式エアラインにもなり、米国本土を離れて行われるアジアシリーズでは、出場選手らに全日空を利用してもらう試みも実施している。

全日空の斉藤ジーン米州室広報マネージャーは「2回目の開催となる今年は、お客様の反応の中で、認知度が上がっていると肌で感じている」と語った。全日空広報部は北米路線について「多くのお客様に利用いただいている成熟した路線。元々の搭乗率は高い」としながら、2015年4月~12月の伸び率は、昨年同期比で17%の増加と明かした。

日本政府観光局によると、2015年の訪日外国人観光客数は1973万人と前年比で45%伸びた。中国が107%増の499万人、東南アジアからの旅行者も200万人を超えた一方、米国は15%増の103万人と伸びしろは大きい。

政府は3月30日、2020年の訪日観光客数の目標を、昨年から倍増の4000万人にすると決めたばかり。全日空は20年の東京オリンピック・パラリンピックのオフィシャルパートナーに決定しており「ゴルフにとどまらず、スポーツ全般とANAとの関わりを伝えていきたい」(斉藤さん)という。風をつかむ大切さは、ゴルフも空の世界も同じ。日本に注目が集まる4年後へ向け、テークオフしていく。(カリフォルニア州ランチョミラージュ/糸井順子)

■ 糸井順子(いといじゅんこ) プロフィール

某自動車メーカーに勤務後、GDOに入社。ニュースグループで約7年間、全国を飛びまわったのち、現在は社内で月金OLを謳歌中。趣味は茶道、華道、料理、ヨガ。特技は巻き髪。チャームポイントは片えくぼ。今年のモットーは、『おしとやかに、丁寧に』。

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