諸見里しのぶ タイで実感する復活への道筋
昨シーズンの国内女子ツアーで賞金ランキング71位に終わり、6年連続で保持していた賞金シードを喪失した諸見里しのぶ。09年のメジャー2勝(サロンパス杯、ツアー選手権)で得た5年シードにより今シーズンまでの出場権を有してはいるが、今年は諸見里にとって背水のシーズンとなる。
失意の1年に終わった昨シーズンは、途中から左脇腹の痛みを抱えながらのプレーが続いた。6月の「ニチレイレディス」では、2日目に左脇腹痛により棄権。7月はツアー離脱を強いられ、復帰後も13試合に出場して予選通過は僅か1回のみ。満足にスイングすらできない日々は、「ゴルフから離れたい」という弱音ばかりが頭に浮かんだ。
その諸見里が今週、自身4回目の出場となる米国女子ツアー「ホンダ LPGAタイランド」でシーズンイン。2日目に「77」を叩いて8オーバーとスコアこそ低迷しているが、その表情はすこぶる明るい。「体の状態は、この1週間で今日が一番良かった。バンカーで4回中3回が目玉になって、紙一重のミスでスコアは悪かったけど、すごく良いショットがたくさん打てています」。
今週開幕前から、ショットの好調を嬉しそうに繰り返してきた諸見里。それは、昨シーズン苦しめられてきた体の不安が払拭されたことに他ならない。左脇腹の痛みは、先月27日に『第四肋軟骨の炎症』と診断。「完治はできないと言われたので、いかに痛みを出さないようにすることを考えた」と、このオフは室内にこもり、体の左右の偏りを解消するため筋力トレーニングに専念。「ケガをした左半身を補えて、良いショットを打てるようになった。毎日、筋肉痛でした」と、笑顔で振り返る。かつては右腕10キロに対し左腕で5キロしか挙げられなかったバーベルも、今では「左手で8キロは上がるようになった」と自慢げだ。
「先週からボールを打ち始めたけど、去年よりはるかに良くなっている。このショットを打ち続けていけば、(日本ツアーで)上位にいける感覚はすごくあった。今までは不安の方が大きかったけど、今はかつての自分を取り戻しつつあります。今は自信をつけることが大事だと思っているので、今週は1つでも良いショットを打って、どんどん自信をつけていきたいですね」。
下位に沈んでも、ひたむきに、そして楽しそうに。諸見里には、確かな復活への道筋が見えている。(タイ・チョンブリ/塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。