セントアンドリュースとローカルキャディ
キャディの起源には諸説有るが、15世紀後半にフランスで育ったスコットランド女王・メアリーが、当時、軍の見習い兵が王族の為にゴルフクラブを運んでいた風習をスコットランドに持ち込んだというのが一つの説だ。
ここセントアンドリュースにもローカルキャディは存在する。その歴史をどこまで遡れるかは別の機会に委ねるとして、やはりコースのことを誰よりも知っている頼れる存在であることは間違いない。
今週、アマチュアのリディア・コーはローカルキャディを雇っている。「このコースはとても平坦だけど、グリーンには沢山の起伏がある。プレッシャーが掛かる場面で、彼が助言してくれるのはとても助かります。それに、バンカーや危険なところを確認するのは難しいので、正確な目標を示してくれるのは、とても良いことだと思います」とコーは言う。初日は通算3アンダーと上々の滑り出しだ。
首位と1打差の5アンダーにつけるチェ・ナヨンも、セントアンドリュースに到着した最初の日に、ローカルキャディと共に18ホールを回ったという。「彼には沢山の情報を貰いました。それから、彼はこう言いました。今でも覚えているのですが・・・」とナヨン。
『もしあなたがゴルフコースに敬意を持つなら、コースもあなたに敬意を持ってくれるでしょう』。
「なにか、新鮮なものを感じましたね。ここはゴルフの聖地。みんながプレーヤーに対して親切に接してくれるし、私も純粋にゴルフを楽しもうと思っています」。
ゴルフ発祥の地が持つ空気感。道具や技術がどんなに進歩しても、数年に一度この地に戻ってくることで、ゲームの本質に立ち返ることができる。言葉では伝えきれないものが、ここセントアンドリュースには息づいている。(英国セントアンドリュース/今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka