2021年 バンク・オブ・ホープLPGAマッチプレー

上原彩子「命を救うために知ってもらいこと」

2021/05/26 11:00
上原彩子(左奥)とリンパ腫を再発したマナイ君(右手前)(提供:上原彩子)

◇米国女子◇バンク・オブ・ホープLPGAマッチプレー 事前情報(25日)◇シャドークリークGC(ネバダ州)◇6777yd(パー72)

上原彩子が米ツアーを戦うのは今年で9年目。優勝こそないものの、ルーキーイヤーとなった2013年からずっと、過酷な世界でシード権を守り続けている。37歳で迎えた今シーズンは、コロナ禍で日本とアメリカの移動が困難なため、試合中の帯同サポートをしてもらえる米国在住者を探していたところ、上原の姉の知人ということで一人の女性とつながった。

自身初戦となった「キア・クラシック」では、その方の自宅からコースまで通い、12位タイの好スタート。だが、悲しい知らせを聞いたのは、その翌週の「ANAインスピレーション」でのことだった。その女性の大学生になる息子が、一度は完治したリンパ腫(血液のがん)が再発したというニュースだった。

上原にとって馴染みのない病気だったが、治療のためには骨髄移植が必要になるという。だが、骨髄移植をするには患者と提供者の白血球の型が適合する必要があり、その確率は兄弟姉妹で4人に1人(25%)、血縁関係がないと数百人から数万人に1人と言われていて、2021年5月現在で、まだ彼にマッチする提供者は現れていない。上原も自身のブログやSNSで、その病気について少しでも知ってもらおうと情報拡散を呼びかけている。

直前で今大会のフィールドに滑り込んだ上原彩子

「自分もあまり(病気について)知らなかったけど、健康な人って分からないじゃないですか。そういう人がいることを知ってもらって、協力してくれる人が増えれば、彼だけじゃなく、世の中にたくさんいる患者さんの命を少しでも救うことにつなげられる。そうなったらいいなと思います」という上原。

具体的には骨髄バンクにドナー登録することが、患者を救うもっとも直接的な方法だ。2019年2月に水泳の池江璃花子選手が白血病と診断されたことを公表し、ドナー登録者は増えたそうだが、実際に適合して提供を依頼した段階で、断る人が少なくないことも問題となっている。骨髄提供をするには3~5日の入院が必要となり、提供前に家族の反対に合う人もいるという。安易なドナー登録は、患者の時間、ひいては命を奪うことにつながりかねないので、熟慮の上での決断をお願いしたい。

今週の大会に話を戻すと、上原のマッチプレーの初戦の相手は、2017年「ロレーナ・オチョア マッチプレー」の優勝者であるキム・セヨン。「ゴルフは全然違うし、タフなマッチにはなると思うけど、自分のゴルフをするだけです」。その1打、その1勝にさまざまな思いを込める。(ネバダ州ラスベガス/今岡涼太)

【関連情報】
上原彩子オフィシャルブログ「ゆんたく日記」
https://ameblo.jp/ayako-uehara/entry-12675279145.html
上原彩子のインスタグラム
https://www.instagram.com/p/CPFAIQatCnV/
Manai君のためのファンドレイジングサイト
https://gofund.me/d45dfd14
Hazlett ShinanoさんのFaceBook
https://www.facebook.com/1801322686/posts/10216673767115527/

■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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