「元賞金女王」の森田理香子 シード圏外からの真っ直ぐな瞳
2013年に初の賞金女王に上り詰めた森田理香子が、当時からは思いもよらなかった下降線をたどっている。14年3月「Tポイントレディス」から勝利に見放され、賞金ランクも同年は16位、15年は20位と後退。今季も16試合を終えて10試合の予選落ちを喫しており、シーズンのほぼ中間点の今、賞金ランク76位と来季シード圏外にいる。
22日開幕の「センチュリー21レディス」を前にして、「最近は全部がダメ。成績が悪いとイメージも出ない。ひとつ良くなれば徐々に良くなっていくと思うので、後半戦は大丈夫だと思っています」と、自らに言い聞かせるように現状を言葉にした。
この2年半、森田はさまざまな悩みと戦ってきた。その1つが、頂点に立ったことでの重圧だ。「13年まではゴルフのことだけにまっしぐら。余計なことを考えたこともなかったけど、一番(女王)になったことで重圧を感じていた。女王として、ちゃんとしないといけない。14年、15年はそう思っていました」。
こうして記事になっていることも含まれるだろうか。何をしても、または何をしなくても、「賞金女王」の肩書がついて回るプレッシャーは、その座に就いた者以外には理解できないものかもしれない。
また、森田はこの日、賞金女王翌年からアプローチイップスで悩み続けてきたことも、新たに明かした。2013年12月、シーズンの最後を飾るツアー外競技「3ツアーズ」に賞金女王として出場。その際に「やらかした」という小技のミスが、思いもよらず尾を引いた。翌14年シーズンからは、その事実を隠そうと必死になるあまり、周囲に対しても心の扉を閉ざしがちになっていたという。
2年半の時間を経て、少しずつ心境の変化も生まれてきた。今では「一生懸命にやって、この位置。練習だけはおろそかにせずにやれているし、悪いときは悪いと思えるようになった」と、良い意味で割り切れるようになった。「今までは経験がなかった」というシード落ちへの懸念も、頭の片隅にはある。だが、「どうしようとか考えず、それはQTにいってから考えればいいこと」と淀みなく言い切った。もう重圧に押しつぶされることない。
「13年よりも考えてゴルフをしている。成績は出ていないけれど、すごく成長できていると思う。(調子の)波が大きければ大きいほど、大きく成長できると思っています」
わずかな光明の先にある完全復活を信じる瞳は、揺らぐことなく真っ直ぐに前を見ている。(静岡県伊豆の国市/塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。