ケガから復帰の葭葉ルミ 休養中に届いた贈り物とは?
「切っちゃいました」。肩下まであった髪をバッサリと切り、ショートヘアで心機一転を図るのは葭葉ルミだ。公傷明け3試合目となる「ほけんの窓口レディース」で、初日「73」、2日目「71」として、通算イーブンパーの20位タイで最終日を迎える。復帰後、好調に予選通過を続けているが、9ラウンド目で初めてのアンダーパーに胸をなで下ろした。
今季第2戦「ヨコハマタイヤ PRGRレディス」の2日目、プレー中にコース内の階段を降りようとした際、右足首をひねり、その後の検査で「右腓骨遠位端(みぎひこつえんいたん)骨折」と診断された。幸い大事には至らず、約1カ月の休養で復帰した。
「とにかく安静、安静と言われ、最初の2週間はおとなしくしていた」と休養に努めた。ケガは自身の問題だけではない。スポンサーや所属先、サポートしてくれる周囲にも迷惑がかかる。シーズン序盤でのケガに「ものすごくショックで落ち込んだ」。
足の腫れが引いた後は、ゴルフができないフラストレーションで塞ぎ込んだ。尊敬するアーニー・エルス(南アフリカ)のスイング動画を繰り返し見ては、自分のゴルフのイメージを頭にたたき込んだ。「とにかくゴルフがしたかった。焦りはないと言ったらウソになる…」。
そんな葭葉に、1通のメール便が郵送されてきたという。
開封すると、今年1月にクラブ、ウェア契約を結んだナイキゴルフ社員たちからの励ましのメッセージが書かれた色紙が入っていた。「今はゆっくり休んで早く良くなって、というメッセージが書いてあった。本当に温かかったし、下を向いていてはダメだと思った」と鼓舞された。
ツアー未勝利の葭葉だが、今年は「3勝」を目標とする。フル参戦を果たした2014年の目標は年間1勝、昨年は2勝…「だから今年は3勝」という。「わたしにとっての1勝は、ただの通過点に過ぎないと考えるようになったから」。
昨年は5度のトップ10フィニッシュを飾ったほか、海外メジャー初参戦となった「全米女子オープン」の大舞台で、堂々の14位フィニッシュを決めた。「なにが起こるか分からないのがゴルフ」と、初勝利までの距離に、現実感を持つことができた。「今は毎試合が楽しい」と目標に向かって突き進む。プレーできる幸せを噛みしめている、そんな笑顔に映った。(福岡市東区/糸井順子)
■ 糸井順子(いといじゅんこ) プロフィール
某自動車メーカーに勤務後、GDOに入社。ニュースグループで約7年間、全国を飛びまわったのち、現在は社内で月金OLを謳歌中。趣味は茶道、華道、料理、ヨガ。特技は巻き髪。チャームポイントは片えくぼ。今年のモットーは、『おしとやかに、丁寧に』。