2016年 ワールドレディスサロンパス杯

日本勢6連敗中という国内メジャーの現実とどう向き合うか?

2016/05/05 08:15
今年も韓国からやってきた刺客の1人、パク・ソンヒョン。母国では今季3勝を挙げている

彼女のニックネームは、韓国語で「ナムダルラ」。日本語にすると「特別・他の人と違う」という意味だとか。今年の「ワールドレディス選手権 サロンパスカップ」に、世界ランキング30位以内の資格で出場するパク・ソンヒョンは、昨年優勝のチョン・インジ(ともに韓国)と同様に日本ツアー初挑戦だが、要注意選手といえそうだ。

身長172cmのスラリとした22歳は、昨年の韓国女子ツアーで賞金ランキング2位。今季は出場4戦中3勝を挙げて、賞金ランキング1位を快走中だ。今年出場した米国女子ツアーでも「キアクラシック」4位、「ANAインスピレーション」6位と、堂々と上位争いを繰り広げている。

「たとえば練習も、他の人と同じ量では勝てないから、もっとやる。そういうこととか…」。ナムダルラの具体例を聞くと、そう教えてくれた。ニックネームは気に入っている?そう問うと「当然よ」といった風情で、こっくりうなずいた。

昨秋は「THE QUEENS presented by KOWA」で来日した。最終日のシングルス戦で対戦し、5&4で完敗した上田桃子は言う。「距離も出て、アイアンもうまくて、メンタルも強い。基本的には隙がない。体は細いけど、軸もしっかりしているし、韓国にはこういう選手がゴロゴロいるんだなって痛感した」。

現在、国内女子メジャーのタイトルは、2014年の「日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯」を鈴木愛が制したのを最後に、海外勢が6連勝を続けている。日本人によるメジャー制覇への熱望は高まりつつあるが、上田の姿勢は明確だ。

「そういう現状は誰かが打破しなくちゃいけないけど、遅かれ早かれ誰かが勝つと思うし、そこにあまりフォーカスしない方がいい。昨年、自分も含めて『日本人が頑張らないといけない』っていう気持ちを、良いパワーに変えられなかった。『しなきゃいけない』『頑張らないといけない』って追い込まれた感じでプレーするのは、あまり良いエネルギーじゃないなって」

“頑張らないといけない”という強迫観念を捨て、自信とともにメジャータイトル奪取へ挑む上田桃子

だからこそ、パクについては「その子が調子良いとは限らないし…」ともらした。

「日本の選手もみんなうまいけど『頑張らなくちゃいけない』って思ってしまうと、逆に『海外選手が強い』っていう認識になってしまう。あまりそう思わずにやることの方が大事だと思う」

2人の言葉を重ねると、「自分は特別だ」と思って挑む選手と、「頑張らないといけない」と思い込む選手がいたら、どちらがメンタル的に優れているかは想像に難くない。上田の指摘の鋭さをかみ締めた。(茨城県つくばみらい市/今岡涼太)

■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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