恩恵を実感する木戸愛 国内女子のチーム事情に“新風”か?
国内女子ツアー「サイバーエージェント レディス」2日目、7位から出た木戸愛がこの日のベストスコア「69」をマークし、通算4アンダーの2位に浮上。最終18番で10mのフックラインをねじ込むイーグルで、首位に1打差に迫り、3季ぶりとなるツアー通算2勝目へのチャンスを広げた。
2013年末から芹澤信雄に師事し、このオフに国内外で行われた合宿を経て、課題だったショートゲームに自信をつけた。今では「イメージもしっかりでき、楽しく感じる」というアプローチで、前半8番ではチップインバーディを決めてみせた。
芹澤が指導するメンバーは、数年前まで藤田寛之や宮本勝昌、上井邦裕ら男子プロ中心だったが、最近は木戸に加え、今週5位で最終日を迎える西山ゆかり、昨年末のQTをトップ通過したママさんゴルファー佐藤靖子ら女子プロの名前も増えてきた。
言うまでもなくゴルフは個人競技。定期的な合宿を含め、チームとしての活動は、木戸にとってプロ転向後「ほぼ初めて」だったという。プロ同士で切磋琢磨できる環境で得た手応えは「良いことしかない」。昨年4月からチームに加わった西山も「自分1人だと分からない部分が多いけれど、チームで動くことで見えてくることも多い。芹澤さんを中心に良い先輩プロばかりだし、良い雰囲気でゴルフができています」と口を揃えた。
女子ツアーでチームといえば、男子プロの江連忠が指導する“チーム江連”、岡本綾子を師と仰ぐ“岡本軍団”らの名前が浮かぶ。かつては女子ツアーを席巻した江連門下生たちも、上田桃子、諸見里しのぶら主力メンバーたちが次々と“卒業”し、現在は若手たちがメイン。一昨年の賞金女王・森田理香子ほか服部真夕、表純子らが優勝を重ねてきた岡本門下生たちも、今季はやや小康状態の感がある。
チームというべきかは微妙だが、今季女子ツアーでは、片山晋呉の合宿に参加した飯島茜と笠りつ子が1勝ずつ挙げている。時節により浮き沈みを共有するのもチームならでは…なのかもしれない。
勝負の最終日を前に、「芹澤さんには、自分から電話をかけると思います」という木戸。久々の優勝は同時に、女子ツアーに新たなエッセンスを注ぎ込むことになりそうだ。(千葉県市原市/塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。