2014年 中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン

覚悟のシーズンを送る46歳 思い出の地で知る10年前と今

2014/05/24 21:00
ツアー初優勝から10年。思い出の地で、斉藤裕子は何を思う

キラキラと輝く将来有望な10代アマチュアたちが、週替わりで優勝争いを続けている今年の国内女子ツアー。今週開催中の「中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン」でも18歳の堀琴音が首位に1打差で最終日を迎える中で、「67」で回った大ベテランがリーダーボード上位に飛び込んできた。首位に2打差の6位に浮上してきたツアー2勝の46歳、斉藤裕子だ。

今週は斉藤にとって、プロ19年目で迎えた2004年大会に初めてタイトルを掴んだ舞台でもある。しかし今年は、一抹の寂しさを感じながらのプレーにもなった。2010年までクラブ契約、以降もクラブを除く用品とボール契約を結んでいたブリヂストンスポーツとの契約が昨年をもって全て解消。今年は別メーカーのキャップやキャディバッグ、クラブを携え、ホステスプロから外れての初めての参戦となった。

優勝した10年前と比較して変わったのは、その立場や姿だけではない。斉藤は言う。「(当時と比べて)飛びがぜんぜん違うし、自分が持つ番手もぜんぜん違う。18番の最後(2打目)なんて昔は9番アイアンだったのに、今日は6番ユーティリティだったんだから」。苦笑を交えてそう話す表情は、やはりどこか寂しげだ。

年齢による体力の衰えは同時に、近年の成績の低下も生んでいる。2010年を最後にシード圏内に入れず、ここ3年はQTの常連となった。今季も10試合に出場して予選通過は2回のみ。「つらいですよ。飛距離、集中力、体力の全てが落ちていますから。QTを通っても、ただ出場するだけでは意味がないんですけどね・・・」と、結果が残せないことへの葛藤と戦う日々を送っている。

最後に、斉藤は言った。「今年が最後になるかもしれない、と思っています。悔いが無いようにゴルフをして、うまくいって来年もできたらいいな、という感じですね」。心の中では、45歳から出場資格が得られるシニアツアーへの参戦も青写真に描いている。

斉藤にとっての栄枯盛衰が、全て集約されている感もある今大会。一線から身を引く覚悟のシーズンを送っている大ベテランが、思い出の地で再びの大輪の花を咲かせるか。(愛知県豊田市/塚田達也)

■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール

1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。

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