2013年 ミズノクラシック

国内シードへ神頼み? 2007年女王・上田桃子の絶体絶命

2013/11/05 17:16
上田桃子に自力でシードの壁をこじ開けるチャンスは与えられるか?(写真は前週「森永製菓ウイダー」の最終日)

国内女子ツアーで通算8勝し、2007年には賞金女王にも輝いた上田桃子が、来季2014年シーズンの出場権獲得に向け、いよいよ苦境に立たされた。主戦場としてきた米女子ツアーは今季、賞金ランク88位(8万3283ドル)の来季賞金シード圏外で一足早く終戦。掛け持ちする国内女子ツアーも、賞金ランク55位(1375万6000円)に留まり、来季シードが与えられる50位以内に達していないのだ。

上位進出を狙った「樋口久子 森永製菓ウイダーレディス2013」で、通算イーブンパーの34位と不本意な成績に終わった上田の表情は沈痛だった。賞金加算額はわずかに49万円。今週の日米共催「ミズノクラシック」は、米ツアーでの賞金ランクが足りず、出場資格が下りてくるのを会場でジリジリと待つ運命で、仮に出場できたとしても、米ツアー選手としての出場なので国内賞金ランクには加算されない。2007年と11年に2勝を記録している大会だけに、米女子ツアーでの賞金シードの可能性はあるが…。

上田が米ツアーに挑戦するきっかけとなった07年ミズノクラシックの残像は、ゴルフファンの脳裏に今も鮮明だろう。最終日にアルバトロスを決めて優勝。あの年の上田は、4月のツアー初優勝から一気に国内賞金女王まで上り詰め、まさに彗星のように、08年からは米ツアーへ本格参戦した。

以後も国内で4勝を挙げているが、何の因果か、直近での優勝は11年ミズノクラシックまで遡る。昨シーズンの12年も米ツアーを中心に試合を戦い、国内では11試合に出場したが賞金ランク80位に沈んで、ついに守ってきた国内の賞金シード権を失った。

今季の上田は、年間8試合までしか認められない「主催者推薦」を頼りに国内ツアーへの出場を続けてきた。国内6戦目だった10月の「スタンレーレディス」を42位で終え、その時点の賞金ランクは76位。トーナメントとは別に、来季出場資格をかけた登竜門のクオリファイトーナメント(以下QT)はすでにスタートしており、2週間後までに70位以内に入らなければ、セカンド(2次)QTから出場せざるを得ない状況にまで追い込まれていた。

このQTはファースト、セカンド、サード(3次)、そしてファイナル(最終)の4段階で、ファイナルへは102名が出場できるが、その中でも上位40位程度に入らなければ、次年度の試合にはほとんど出場できない。

翌週「マスターズGCレディース」で国内7試合目を迎えた上田は、なんとか自力で3位タイに食い込み、賞金ランキングを55位に浮上させ「セカンドを免れることができて良かった」と胸をなで下ろした。さらに、日本女子プロゴルフ協会が定める『直近の試合で3位タイ以上』という新たな出場資格まで得て、もともとは最後の8試合目の主催者推薦の資格で出場する予定だった「樋口久子 森永製菓――」の出場資格を変更することにも成功した。

上田の目指す国内ツアーの賞金シード獲得へは、あと4人(永久シード保持者の不動裕理がランク入りしているので51位まで繰り下がる)を追い越さなければならい。だが、先週はそのチャンスを生かすことができなかった。残すは、先週使用せず、手元に残すことができた最後の「主催者推薦出場」1試合だけだ。

現在、上田は07年に優勝した経験もある再来週の「大王製紙エリエールレディスオープン」の主催者に、推薦で出場させて欲しいと懇願している最中という。ところが、時期が時期だけに、「すでに主催者推薦枠の割り当てはほぼ決まっている」(ツアー関係者)のが現状。運よく、誰かほかの選手の枠が空いたとしても、現状約300万円差がある賞金ランク51位以上に入る成績を出せなければ、QTに身を投げることになる。

「森永製菓-」の試合前、には「シードのことは自分の中では気にしないようにしています。QTに行くことも覚悟はできています」と胸中を明かしていた。55位以内でシーズンを終えた場合は、12月3日から4日間、静岡県の葛城ゴルフ倶楽部で開催されるファイナルQTに出場。56位以下の場合は「大王製紙エリエール――」最終日の2日後、26日から3日間で行われるサードQTに出場し、ファイナルまで勝ち進まなければならない。

きっと自らのプレーでシード権をつかみとりたいはずだが、残り1試合に出場できるかは未定。さらにQTもサードからか、ファイナルだけなのかは、他の選手の成績次第…。勝ち気な攻めのゴルフで頭角を現した上田が、ついに攻め手なく、神頼みしかない状況に陥った。

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