女子ゴルフに“イエローカード”が登場
サッカーで悪質な反則をした選手に対し、審判が掲げるイエローカード。サッカー観戦ではお馴染みの光景だが、この選手に注意を喚起させる制度が、今年から女子ゴルフ界にも導入されることになった。
近年、国内女子ツアーでクローズアップされているスロープレーによるペナルティの問題。07年以降の統計を見ると、実に計21回ものペナルティが課されている。特に2010年の「サロンパスワールドレディス」における三塚優子の棄権騒動。さらに昨年の「マンシングウェアレディース東海クラシック」初日には、同組の横峯さくらと金田久美子に2打罰が課せられ、とりわけ大きな話題を呼んだ。
目安として、前の組と1ホール以上(時間にして14分以上)を超えた場合、まず巡回する競技委員から口頭による警告が入る。競技委員はプレータイムの計測に入り、LPGAが準じたプレータイム(※)を超えたと認められた時点で2ペナが課される流れ。しかし、口頭による警告が、選手サイドからは“警告なのか、ただの注意なのか、お願いなのか分からない”という声があがっていたという。この、言葉が生む曖昧さを解消するため、今年から新たな試みが実施されることになった。
明日開幕する「ダイキンオーキッドレディス」から、これまでの口頭による警告がイエローカードの提示へと代わる。江間陽子競技委員長は、サッカーよりも一回り大きなカードを掲げ、「カードの方が言葉の説明よりも分かりやすい。今年1年間はこれでやっていきます」と主旨を説明。日本語が堪能ではない海外選手に対しても、その効果を期待しているという。
今年からミーティング委員長(選手会長)を務める馬場ゆかりも、直近で08年にペナルティを課せられた1人。「いつから(プレー時間を)計っていたのかな、というのは確かにありました。(LPGAが)分かりやすい答えを選んでくれたと思います」と、選手の立場として歓迎の意を示した。選手にとっても、また観戦を楽しむファンにとっても百害あって一理なしのスロープレー。この日、初披露されたイエローカードが、この問題を打開する切り札となるか。(沖縄県南城市/塚田達也)
※プレーのペースに関する基準及び罰則(LPGAゴルフ規則6-7注2より)
(1)計測対象となった組で1ストロークの所要秒数が60秒以上の場合の者はペナルティ対象となる。
(2)1ホールでの各ストローク数の平均所要秒数(1ホールでの各ストローク数×30秒)より11秒以上かかった場合はペナルティの対象となる
(3)1人の競技者が著しく遅いときは基準に該当しなくとも罰則を適用することがある。
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。