三塚、亡き父に念願の誕生日プレゼント
「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」最終日、最終18番グリーン。7mのバーディパットがカップを僅かにオーバーして止まった瞬間から、三塚優子の目は涙で潤んでいた。2年半ぶりの勝利や、初メジャータイトルへの喜びではない。心を満たしていたのは、昨年3月に他界した父・康輝さん(享年72歳)への想いだった。
「メジャーで勝つところを見せてあげられなかったのが心残りだった。(他界して)いなくなった後でも、“お父さんのために勝つんだ”という気持ちはすごくあった」。今週9日(金)は康輝さんの誕生日。「今週勝てたらいいね、ってキャディさんとも話していたけど、それが現実になるとは思わなかったです」と、想いを巡らせながら、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
今週コースに訪れていた母・千鶴子さんも、「この試合は初日から調子が良かったし、何かの縁を感じていました。お父さんのために頑張ってくれているんだな、と思っていました」と、同じ気持ちで三塚のプレーを見守っていたという。
昨年は謹慎によりツアーから離れる時期もあり、失った試合勘を取り戻す苦労もあった。加えてなかなかフィットするクラブに巡り合えず、不遇の時が長く続いた。無様な姿を見せたくない心理もあったのだろう。千鶴子さんに対し「コースに来なくていい」と話していた三塚が、先月初旬から「来て欲しい、と言うようになった」(千鶴子さん)と心の拠り所を求めるようになった。天国から見守る父と、ロープの外から見守る母。三塚の涙が、3人の絆の強さを物語っていた。(千葉県市原市/塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。