母が救急車で搬送されても5アンダーをキープしたイ・ナリ
国内女子ツアー「リゾートトラストレディス」2日目。この日も快晴に恵まれたグランディ軽井沢ゴルフクラブには、3,498人のギャラリーが足を運んだ。最終組の1つ前で5アンダー2位タイからスタートしたイ・ナリ(韓国)の母親キム・ナリさんは、日傘をさして応援のために同行していた。ところが、5番ホールのティグラウンド横で容態が急変してしまった。
イの組がティショットを終えてグリーンに向かったが、キムさんは日陰に腰を掛けて休憩をしていた。続く最終組が通り過ぎても立ち上がれずに。さらに、10番スタートのトップ組がティグラウンドに到着し、オナーの全美貞(韓国)がティショットを打った直後にうめき声が聞こえてきた。
選手もギャラリーもその方向を振り返ると、そこにはキムさんが座った状態で尋常ではないうめき声を上げて嘔吐していた。イの母親だと気づいた全がすかさず傍により、声をかけるが、動くことはできず嘔吐も止まらない。すぐに救急車を要請したが、同じタイミングでクラブハウスでも1台呼んでいた状態で、2台目が到着したのは、15分以上も経ってからだった。
この間、韓国語を話せるのが全だけということもあり、プレーは中断された。そして、キムさんは病院へ搬送されたが、娘のイは、そのことを9番が終わってクラブハウスに戻ったときに聞かされた。「重症ではないと聞いたので、プレーを続けました」というイだが、動揺は隠せなかったとキャディの仙崎さんが話してくれた。
イは前半1バーディ、2ボギーとスコアを落としていたが、母のことを聞いた後半には、1バーディ、ノーボギーのラウンドで5アンダーをキープ。順位は13位タイと後退したが、詳しい状況が分からない状態で、不安な気持ちのままよくラウンドしたのではなかろうか。ラウンド後に、急性胃腸炎という診断を聞いてホッと一安心したイは、パッティングの練習を行ってから、母の入院した病院に向かった。(編集部:本橋英治)